第10話灰と化した家族

事故物件での生活を終えた我々は、スタッフルームにて映像を編集していた。

編集作業の最中、古岩井が椿に報告した。

「例の火災事故で亡くなった家族の親族と連絡がつきました。明日伺ってもいいと許可を取れました。」

「よし、明日早速行こうか」

翌日、我々は亡くなった家族の親族である山代やましろ夫妻が住んでいる家を訪ねた。山代は春子さんの父方の親族で、春子さんの父親は山代佑夫やましろたすおという。そして母親は山代聡映やましろさとえという。

客間に入った我々は佑夫の父・佐俣さまさんに、詳しい話を聞いてみた。

「火事があったのは今から十五年前のことです、当時はワシと紅葉もみじ(佑夫の母)はあの二世帯住宅に同居していました。火事の知らせを聞いた時は昨日から二泊三日の旅行に行っておりまして、警察から『お宅が火事になっています』と聞いて慌てて戻ってきました。」

その後、息子夫婦と春子さんの死を知ってから二年後、佐俣さんと紅葉さんはあの二世帯住宅に住んでいたのだが・・・。

「夜中、用を足しに行こうとしたら階段を降りて右側のリビングから物音が聞こえたんです。最初は気のせいかと思いましたが、トイレから出ても物音が聞こえるのです。気になってそ〜っと歩いてリビングを覗いたら、死んだはずの息子夫婦と春子ちゃんがリビングで過ごしていたんだよ!」

そして紅葉さんも、不可解な体験をしたという・・。

「孫の春子さんの部屋を自分の部屋としてリフォームすることになりまして、そのために春子が生前使っていた教科書やランドセルなどを段ボールにまとめたんです。それで紅葉さんが、その部屋に花を入れた花瓶を置いたのね。そうしたらその花瓶がいつの間にか落ちて割れていたんだ、最初紅葉はおれが割ったんじゃいかって疑っていたんだけどね。その後、段ボールの中身を処分しようとしたら、段ボールが空になっていたんだ。」

火災の後に起きた不可解な現象・・・、果たしてそれはなんの意味があるのだろうか?


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