第6話事故物件(2)
続いて我々は、キッチンにやってきた。
「ここには、母親の霊が出たということだけど・・・」
物が一切無くなっているキッチン、一見きれいに見えるが、壁のシミが年季を感じる。
特に異変が無いので二階へ上がろうとしたとき、道草が何かを見つけた。
「これは、指輪・・・?」
青いラピスラズリのついたきれいな指輪だ、これはここに住んでいた住人のものだったというのか・・・?
続いて二階の探索に入る椿たち、ある一室のドアを開けると、部屋の片隅に黒くすす汚れたぬいぐるみが一つあった。今から十年前に子どもたちの間で人気だったキャラクターだ。
「なんだ、このぬいぐるみは・・・?」
三吉がぬいぐるみを手に取ろうとした時、突然不気味な声が聞こえてきた。
『それは・・・あたしの・・・』
「えっ・・・?何、今の?」
その声は椿にも聞こえたようで、椿は三吉に言った。
「おい!そのぬいぐるみに触るな!」
「えっ?でも、かなり気になりますし・・」
「この家には必ず何かある、下手に触ると霊障を受けるぞ・・・」
椿はただ事ではない目付きで言った、椿の意図を察した三吉はぬいぐるみをそのままにした。
それからしばらく二階を探索した我々だったが、とくに目立つことは無かった。
ただ、家のいたるところにあった火災で亡くなった家族のものらしき物たち、それらはその家族の生活の断片を写したものだということは間違いない。
調査を終えた椿は不動産会社に連絡するついでに質問した。
「子ども会が潰れてから今までの間に、子ども連れの方はいませんでしたか?」
五分ほど後、不動産会社から通話があった。
「過去の名簿を見てみましたが、子ども連れの方はいませんでした。」
「ありがとうございました」
椿は確信を持って通話を切った。
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