第5話事故物件

我々は菜野花親子に取材をした後、スタッフルームで調査の予定についてミーティングし、二手に分かれて進行することにした。

ディレクターの椿つばきとアシスタントの道草みちくさとカメラマンの三吉みよしは、例の事故物件を調査しに向かい、レポーターの朝美あさみとアシスタントの古岩井こいわい向原むかいばらは、鳥居道生のもとへ取材に向かうことになった。

椿たち三人は、事故物件を所有する不動産会社に案内され現地へたどり着いた。

「けっこう、大きな家ですね・・・」

「おれの実家より広い・・」

「まるで屋敷だ・・・」

二階建ての二世帯住宅で、廃墟としては真新しい方だ。

不動産会社によると子ども会が解散して以降、五名ほどがここに住んでいたが、全員一年と経たずに立ち退きしているという。

「それでは、後はみなさんで調査してください。」

そう言って不動産会社の担当者は、家のカギだけ渡して去っていった。

椿が家のドアを開けて、三人は中へと進んでいく。

「中はいたって普通ですね・・・」

まずやってきたのは、ポルターガイスト現象が起きた部屋だった。部屋の左端に映像に映っていた本棚があった。

「本が落ちたのは、一番上の棚からだったな」

椿は本棚に近づくと手を伸ばした、すると手が一番上の棚に触れた。

「確かにここから子どもが本を落とすとなると、踏み台がいるな・・・」

「うわーっ!!」

突然、道草の叫び声が聞こえた。

「どうした!どうした!」

「椿さん・・・あれ、あれ」

震えながら道草が指差したのは窓、そこに二つの手形がくっきりとついていた。

「道草さん、手形くらいでビビりすぎだよ!」

三吉は笑っていたが、椿は不信感を感じていた。

「我々は窓に触れていないし、そもそもこの手形は小さい。ということは、ここに子どもがいるのか・・・?」

窓についた子どものものらしき手形、ここはかつて子ども部屋だったとでもいうのだろうか・・・?



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