第100話 M・S
SSランクダンジョン、『絶望の漆黒』。
光の一切ない真っ暗なダンジョンで、出て来るてきも隠密を得意とする奇襲タイプばかりのダンジョンだ。
――私は今、そのSSランクダンジョンへと挑もうとしていた。
「さあ!チームM・S本格始動!ワシ等の軌跡の始まりじゃ!!」
私の頭の上に乗るぴよちゃんが声高に叫ぶ。
前から思っていたんだけど、ぴよちゃんどうやってボールみたいな体で私の頭の上に立ってるんだろうか?
まあそんな事はどうでもいいか。
「ぴよちゃん、チームM・Sって何?」
Mの意味は何となく分かる。
ぴよちゃんだし。
でもSの方が何の頭文字か分からなかったので聞いてみた。
「なんじゃい。そんな事も分らんとね?ならば耳かっぽじってよく聞けい!マヨネーズシスターズの略じゃ!感動しろ!」
ああ、うん。
なんかすごく太ってそうな姉妹名だね。
どうやら彼女の中では、私達は姉妹扱いの様である。
「ふふ、いいねそのチーム名。何だったら協会で正式にギルド登録しに行こっか」
ぴよちゃんあれなネーミングセンスを手放しで称賛する女性がいる。
彼女の名は
売店の二つ名を持つ、世界ランキング二位のプレイヤーだ。
今回のダンジョン攻略は――というか、これから私は彼女とコンビでレベル上げして行く予定になっている。
「流石にその名前でギルド立ち上げはどうかと思うんですけど……」
いやまあ、何の略かを知らなければそれ程違和感はないんだけども……ないんだけども、そういう問題じゃなくて。
だいたい私、ぴよちゃんや十文字さんと違ってマヨラーじゃないからなぁ。
実害がある訳じゃないけど、楽しいマヨネーズ仲間に強制参加はなんていうか、ちょっとあれに感じてしまう。
「ふふふ、まあそうだよね。ジョーダンジョーダン」
「ワシは至って真剣じゃい!」
「ぴよちゃんはほんと情熱的だねぇ」
十文字さんも私を真似てか、ぴよちゃん呼びだ。
「情熱的ときましたか。まあ確かに執着は凄いですけど……」
「ワシはマヨネーズ女王になる!」
一体どうやってそんな物になるのか謎だ。
卵を一杯生むとか?
「さて、冗談はこれ位にして。早速攻略を始めて行きましょう」
「そうですね」
私はアルティメットスキル、【
「お、明るくなったね」
スキルによって生み出されたヴァルキリーは、半透明で、鎧を着た翼の生えた天使の姿をしている。
その翼からは温かな光が生み出され、真っ暗だったダンジョン内を明るく照らし出す。
このダンジョンの暗闇は光を吸収する性質があって、通常の光だと遠くまで見通せないんだけど、ヴァルキリーの生み出す光はそんな物お構いなしだ。
「ライトとしては一級品じゃな!ま、ワシの
「はいはい。ぴよちゃんが最強最強」
ぴよちゃんとピカピカ勝負するつもりは更々ない。
する意味もないし。
「いやしかし、ほんと多機能だよねぇ。強化バフに回復魔法。結界にこの強力なライト。しかも光の中の事は全部把握できるから、トラップや敵の奇襲まで防げると来てる。しかも複数出せるとか。これでデメリットなしなんだから、アルティメットスキル過ごすぎ」
「まあ複数って言っても、今はまだ三体しか出せませんけど」
私のアルティメットスキルは他のスキルと違って特別で、レベルを上げると呼び出せるヴァルキリーの数が増やせる仕様だったりする。
なので今は三体だけど、レベルを上げさえすれば四体五体と、いずれ呼び出せる数が増えていく。
異世界への侵略の事も考えると、こっちのレベルも早く上げて行かないとね。
因みに、光の中のサーチ機能は私にくっ付いている本体限定よ。
まあ分身の方もやろうと思えば同じ事はできるんだけど、サーチ内容を確認できるのが私だけなのがネックになってる。
一応分身をコントロールして知らせる事も出来るんだけど、同時にサーチしつつ動かすとかやっちゃうと負担が大きいので、分身の方は基本無しにさせてもらってるわ。
まあ預けてる先は、私のヴァルキリーのサーチなんかいらない所だしね。
二体のヴァルキリーの預け先は、一体は姫ギルドの姫路アイギスちゃん。
で、もう一体は――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます