小さな勇気とラッキースター
ミンイチ
第1話
小さい頃に星の形をした不思議なおもちゃを家の押し入れの中で見つけた。
そのおもちゃは僕以外が持つとただの積み木みたいになるけど、僕が持つと少し光り出す。
しかも、その光は僕以外には見ることが出来ない。
光っているときにおにぎりを作る時みたいにギュッと握ると少し勇気をもらえる。
その代わりにちょっとだけ不運になる。
逆に、光っているときに上下左右に引っ張ると少し運が良くなる。
その代わりに勇気が少し抜き取られる。
僕はこのおもちゃを「ラッキースター」と名づけ、さまざまな時にこのおもちゃを使ってきた。
ゲームのガチャやくじを引く時に引っ張ったり、入試や試験の面接の前に握ったり、ここぞという時に使ってきた。
しかし、19歳になる頃からラッキースターの光が少しずつ弱くなっていき、それに合わせてラッキースターの効果が小さくなっていった。
それに焦った僕はどうにか光の強さを元に戻す方法を考えに考えた。
さまざまな方法を考え出して試してみても意味はなく、時間が流れるにつれて光は弱まっていった。
光がほとんど消えて、次の日、つまり僕の20歳の誕生日には完全に消えるであろうと思われた。
どうしようもなくなったので、僕は父にラッキースターのことを電話で聞いてみた。
驚いたことに、とは言えないが父も小さい頃にラッキースターを使い、20歳の誕生日に光が消えたらしい。
そして父の父、つまり僕の祖父に聞くと、祖父も同じだったらしい。
このラッキースターは僕の家にいつからか伝わっているもので、その力は僕の家の人にしか使えず、20歳以上の人には誰であろうと使うことができず、そして誰にも壊すことができないらしい。
そして、父はそれを聞き、20歳になる前日に幸運と勇気の割合を半分ずつにしてラッキースターを家に戻したらしい。
父との通話を終えて、私は勇気と幸運の割合をどれくらいにするか考えて、答えを出した。
限りなく半分ずつに近く、しかし勇気が少し多いようにした。
次の日の朝、ラッキースターを持ってみても光は出なかった。
僕は次の帰省の時にラッキースターも持って帰り、見つけた場所に戻した。
小さな勇気とラッキースター ミンイチ @DoTK
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