02.

あれから三ヶ月が経った。そろそろこの家にも慣れたところで離れることになった。現在は長野から京都に向かう新幹線に乗っている。


この三ヶ月で色んなことを知った。そのなかでも特筆すべき点はこの世界の男女比がおかしいところである。男女比はなんと1:700。通りでこの家は男がいないんだ。全員なんかで来てないのかと思っていたが。

これ俺ハーレム作れるんじゃね???とも思ったが、なんかモラル的というか倫理的にダメな気がする。この世界じゃ知らんけどさ。


「冬、泰、もうすぐよ」


「はーい」

「あい」


冬、と呼ばれていた少女は俺の姉らしい。お母様が雪、姉が冬なのに対して泰?とも思ったが泰月ということで納得しておこうと思う。

俺は滑舌が悪いと言うかまだ成長途中なのであいとしかいえない。


『まもなく京都です』


「出るわよ」


ついに京都だ。転生前は京都なんて来たことがなかったからワクワクするぜ。


「あ、タクシー!」



〜〜〜




タクシーに少し揺られ、着いたのはタワマンであった。

まあ社長だし?もうびっくりしないよ(感覚麻痺)。


「あっすみません」


お母様はエレベーターへギリギリに入った。押すボタンは最上階の20階、全国の富裕層が暮らすようなところでは低い階ではあるが、京都の制限等を考えれば妥当な階だろう。

帰宅時間ということもありエレベーターはほぼ各階に停まっていた。


『20階です』


1分ほどしてようやっと20階まで来た。


「「ただいま〜」」


姉とお母様が言う。俺も言えたらなぁ…というかいつ頃なんだ?言葉が喋れるようになるのって。多分この世界は元の世界と変わらない日本だから言葉も変わらないはず、というか理解できてるから変わらないだろう。

なので後は呂律を回すだけか。

まあ流石に一歳くらいになったら?いけるはず?


そう思った春の夜であった

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