かっぱときゅうり

とし

かっぱときゅうり

「かっぱ」っというとちょっと語弊ごへいがあるかもしれませんが、たしかにおいらのあたまうえにもおさらがあるんです。

もちろん、もちろん、かわくとれてたいへんなことになりますよ。

それにほら、みずかきだってちゃんとついています。


ただですね、かっぱの世界せかいにもいろいろあってですね。

どういうわけか「かっぱ」と名乗なのっていいのは、ちゃんと自分じぶんかわがあるものだけなんです。

もちろん、いけでもかわでもみずうみでも大丈夫だいじょぶなんですけど。

ようはアレですよ、アレ、水神様みずがみさまとしてちゃんとまつられているかどうかなんです。


ながかわなんてものになると、要所ようしょ要所ようしょまつられるから、何匹なんびきんでいたりしますけど。

ほこらのあるしはどちらでもよくて、まつられていれば大丈夫だいじょうぶなんです。

もちろん、ほこらがあれば祠持ほこらもちちなんていってね、それはもう、ね。


ただ、あまりおおききなかわみずうみになると今度こんどぎゃくりゅうが、りゅうのやろうがいるんですよ。

むかしはいろいろとあったみたいですがね、いまはもう。すっかり。

300ねんほどまえ西方にしがたのやつが、そこに龍神りゅうじんしたなんてはなしきましたが、実際じっさいはね、どうなんでしょう。


おいら?おいらですかい?

おいらは、人工的じんこうてきないわゆる用水路ようすいろってやつにんでいたんです。

よくあるじゃないですか、はるになると田畑たはたみずいたり、火事かじとき野火止のびどめになったりとか。

そんなかんじのところんでいたんです。

コレでもまだ、ましなほうなんですよ。

ひどいやつなんて・・・・・・おっといけね。


その用水路ようすいろに「ほこらててまつろうか」なんてはなしもあったんですが。

そこでまつられちゃうと、そこで水神みずがみとしてきていかないといけないわけですよ。

水神みずがみになる。つまり、そこでようやく「かっぱ」になるんです。

それはそれでね、もうカエルやコオロギなんて自分じぶんつかまえる必要ひつようがなくて、そなものだけで、だいたいはたのしくきていけるんですが。

やっぱりね、ゆめをみちゃうわけですよ。

いつかはおいらもおおきなかわで、さかなをたらふくってらしたいとか。

ふなもいいですね。

こいもいいですね。

けどやっぱりあゆですかね、とか。

うわさでしかいたことがないですが。

そのあじ想像そうぞうするだけで、もう、もうどうにも口元くちもとがふにゃふにゃになってね。


用水路ようすいろにも、たまにふなぐらいはまよんでくるんです。

ただね、それをつかまえてべるたびに、むねなかなにか、なにおおきなモノがふくらんでくるんです。

そういったわけで、いまおいらはここにっているんです。


このたち?

この子達こたちはおいらの仲間なかまですよ。


バカいっちゃいけませんよ。そんな、さらってるわけいじゃないですか。

あれですよ。ちょっとみみをいいですか。

てられたんです。口減くちべらしってやつですよ。

どうもね、ここ数年すうねん作物さくもつがあまりれずに。

だからみんな、人気ひとけすくないところにてられるんです。

たしかに可愛かわいそうですが、そりゃ仕方しかたないですよ。


だから、こいつらにはらいっぱいさかなわしてやりたいと思って、れた用水路ようすいろをあとにしたんです。

あと、途中とちゅう一緒いっしょになったもいますが。


さきにいった子達こたちが「このさきだれんでいないむらがある」っていうんで、そこにかう途中とちゅうなんです。

うんのいいことに、そこにおおきなかわいけもあるそうなので。


そこにんでるかっぱ?

ぬんです、かっぱは。むらほろびると同時どうじんじゃうんです。

「なぜか?」そんなのからないですよ。おいらにも。

そういうものですから。


そこでね、この子達こたちあたらしいむらをつくるんです。

田畑たはたたがやしたり、土手どてつくったりしてね。

先人せんじんがうまくいかなかったてことは、たぶんつちがね、つちがいけねえ。

だから、かわいけそこからつちってきてえてあげるんです。

養分ようぶんたっぷりのつちをね。


そうして、このたちがそこでそだち、こいをして、どもがまれてね。

そりゃ、何事なにごと上手うまくいくかなんてからないですよ。

けどね、そうやってこの子達こたちと、そのどもたちと、そのまたどもたちと。

ゆっくりきていける場所ばしょをつくるんです。

それでね、いつか美味おいしいしいきゅうりをいただくんです。

そういうことじゃないですかね。水神みずがみになるって。



おしまい




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あとがき

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最後さいごまでんでいただきありがとうございます。

この作品さくひん前作ぜんさくの「たくあん」から着想ちゃくそうがつながっていて、漬物つけものにするなら「きゅうり」かなとうところからはじめました。

ただ、わたしは「きゅうり」がだい苦手にがて一口ひとくちも、一欠片ひとかけらくちにすることができません。w

そこで、「きゅうり」をわりにべてくれるのは「きゅうり」が大好だいすきな「かっぱ」かなとおもいい「かっぱ」がてくる物語ものがたりかんがえてみました。


感想かんそうなど叱咤激励しったげきれいいただけるとありがたいです。

これからも、日常にちじょう物語ものがたりにしていきたいとおもいます。

よろしければ、応援おうえんよろしくおねがいします。




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