俺の許嫁が可愛すぎる
マキシム
第1話
俺の名はレオン・アルタイル、アルタイル公爵家の嫡男だ・・・・すいません、調子乗ってました。何故か、知らないがこの坊ちゃんに転生した怠け癖のある現代日本人だ。俺の転生した世界は西洋をイメージした世界で俺はそこの公爵家の坊ちゃんとして何不自由なく育ったが、いかんせん自由がなく習い事がいっぱいあってヒイヒイ言わされてる。因みにレオンの容姿は漆黒の短髪、色白紫眼で彫りの深い顔立ちの美男子である
「レオン様、何をほうけた顔をしているのですか?」
「ん、ああ、フィーネか。」
「フィーネか、じゃありませんわ。アルタイル公爵家の嫡男ともあろう御方がこのような所でだらけている場合ですか。」
「俺は基本、怠け者だから怠けてるだけだ。」
「はあ~、全く貴方って人は。」
俺に声をかけてきたのは俺の幼馴染であり婚約者のフィーネ・オルテンブルク、オルテンブルク公爵家の令嬢であり見た目は銀色のロング、色白紫眼で彫りの深い美少女である。俺と違ってフィーネは真面目で努力家、周囲から淑女の鑑と言われている。気が強く世話焼きな面があり俺に何かと絡んでくる
「お前も俺同様、肩の力抜いて気楽にいこうぜ。いつものように淑女の鑑を貫くと息がつまるぞ。」
「大きなお世話ですわ。」
「可愛げのない奴。」
「怠け者の貴方には言われたくありません。」
「はあ~、見た目がいいのにな。俺的には断然、好みだけど。」
俺自身、フィーネの事が好きだ。初めて会った時も見た目が可愛らしく将来、美人さんになると思った。俺の素直な感想を聞いたフィーネは顔を真っ赤にして食って掛かった
「な、何を言い出すのですか、貴方は!」
「だって本当の事だもん。今でもお前の事、大好きだし。」
「そ、そ、そういう事は滅多に言うものではありません!そ、そういう事はちゃんと順序をもって・・・・(小声)」
「(ぐふふ、可愛い奴。)」
フィーネは現代でいうツンデレである。ツンデレ大好物な俺にはまさに御褒美でございます。フィーネを弄るのもこの辺にして俺はこの場を移動する事にした。俺はすかさずフィーネの手を握るとフィーネは慌て始めた
「フィーネ、そろそろ行くぞ。」
「な、何ですか、急に!」
「人目が増えてきたから、この場を離れるんだよ。」
俺がそう言うとフィーネは辺りを見渡した。周囲には俺たちの様子を遠巻きに生暖かい眼差しをしながらニヤニヤと見る令嬢と令息がおり、フィーネは顔を真っ赤にさせ黙って俺に付いてきた
「羨ましいですわ。」
「何だかんだ言ってお似合いだよな、あの2人。」
「双方の御両親も良き婿、良き嫁を迎えたと鼻高々でしたわね。」
「ふふふ、本当に。」
「リア充、爆発しろ。」
「なんであんな奴が許嫁なんだ。」
令息と令嬢からの嫉妬と羨望の声が俺たちの耳に届き、フィーネの顔は更に真っ赤になり俺の手を引っ張り、足早にこの場を去ろうとした
「だとさ。」
「無視です、無視!」
「(素直じゃないんだから。)」
そんな日常が続くと思っていたが、俺の下にある噂が耳に入った。フィーネが転校生の私物を壊すという噂である。正直、俺は信じていない。何故ならフィーネは怠け者の俺の世話につきっきりで、そんな事をしている暇がないのである。俺は念のためにフィーネを人目のつかないところへ連れていき真偽を確かめた
「という噂を耳にしたんだが?」
「レオン様、まさか貴方まで私がそのような事をしたと疑っているのですか!」
「いいや、お前はずっと俺と一緒にいるからそんな事する暇なんてない筈だぞ。それに淑女の鑑と呼ばれたお前が自分で自分の首を絞めるような事をするとは思えないんだもの。」
「・・・・ありがとうございます。」
「噂の出所を調べたんだが、どうやらモルゼン子爵家のミリア・モルゼンという令嬢が言い出したらしい。」
噂を聞いた俺はアルタイル公爵家に仕える隠密を使って噂の出所を調べると最近、ミリア・モルゼンという転校してきた子爵令嬢が言い出したという。ミリア・モルゼンについて調べてみるとモルゼン子爵と愛人との間に出来た娘で元は平民だったらしく前妻の子爵夫人が亡くなったのを機に愛人が後妻として嫁ぎ、ミリア・モルゼンは子爵令嬢となり貴族デビューを果たし、この学園に転校したのである。勿論、俺とフィーネはこの転校生とは別のクラスであり接点がなく、普通ならあり得ない話である
「それでお前はどうしたい?」
「決まっています、お父様に事の経緯を説明し抗議文を出させていただきます!」
「うん、確かに悪くない考えだ。その前に叔父上に話を付けないとな。」
「学園長先生に?」
俺たちが通っているこの学園のトップである学園長は俺の叔父(父の弟)が努めており、公明正大な手腕で尊敬を集めている。抗議文を出す前に叔父である学園長に断りをいれるのだ
「よし、そうと決まれば会いに行くぞ!」
「ちょっと、待ってください!」
俺とフィーネは真っ先に学園長室に向かった。叔父は何事か俺とフィーネを見て驚いていたが例の噂の事を話すと中に入れ、話を聞いてくれた
「そうか、フィーネ嬢も災難だったな。」
「・・・・はい。」
「まぁ、幸いその日は俺とフィーネは友人たちとテラスにいましたからアリバイは成立しますよ。」
「うむ、私も噂は聞いていた。淑女の鑑と呼ばれたフィーネ嬢がそのような事をするとは思えなかったからな。こちらでも調べようと思っていたところだ。」
「叔父上、俺もフィーネが濡れ衣を着せられるのを黙って見ていられないんですよ。俺も両親に頼んでモルゼン子爵家に抗議文を出すよう説得します。」
「普段、怠け者のお前がこういう時に限って真面目になるとは皮肉なものだ。」
「俺は能ある鷹は爪を隠すタイプだもん♪」
「「威張るな(威張らないでください)」」
2人から突っ込みをいれられたが、その前にやることがあるので叔父に早退したい事を願い出た
「叔父上、急な事ですが早退しても良いですか。」
「何だ、突然。」
「この事を父上とフィーネのお父上に知らせなければいけません、事が事だけに。」
「本来は学生は学業に励むのだが今回ばかりはそうも言ってられん。私の権限でお前とフィーネ嬢は早退とする。」
「よろしいのですか、学園長先生!」
「あぁ、解決するのは早い方がいいだろう。担任には私から伝えておくよ。」
「「ありがとうございます!」」
俺とフィーネは学園長の許可の下、早退し父親たちが勤務する内務省に入った。俺の父とフィーネの父は俺とフィーネが突然、現れた事に驚きつつ学園長から早退の許可が出た事と例の噂について話した。話を聞いた2人は真顔になり俺たちに尋ねた
「レオン、それは本当か?」
「父上、俺もフィーネも嘘を言うためにわざわざ内務省に訪れたりしませんよ。」
「お父様、アルタイル公爵閣下、私もレオン様も学園長先生から早退の許可を得て参りました。」
「アルタイル殿、2人の申す事が本当であれば由々しき事ですぞ。」
「確かに。」
「俺もフィーネもモルゼン子爵令嬢とは全く接点もないし会うにしてもすれ違う程度です。それに事件が起きた日は俺もフィーネも友人たちと一緒にテラスにいましたからアリバイも成立します。」
「うむ。」
「お父様、モルゼン子爵家はオルテンブルク公爵家に喧嘩を売ったのです。これを放置するわけにはいきません!」
「その点については俺も同じです。俺の婚約者であるフィーネに濡れ衣を着せるという事はアルタイル公爵家にも喧嘩を売ったも同然です!」
俺とフィーネの必死の説得に双方の父は首を縦に振り、モルゼン子爵家に抗議文を出す事に決めたのである。抗議文がモルゼン子爵家に送ってから次の日にミリア・モルゼンは休学となった。表向きの理由は病欠であるが実際は俺とフィーネの実家からの圧力によるものである。俺とフィーネはミリア・モルゼンがいなくなってホッとしているのも束の間、一緒に昼飯を食おうと食堂に到着すると・・・・
「フィーネ・オルテンブルク、ミリア・モルゼン子爵令嬢に度重なる嫌がらせをした罪をこの場にて断罪する!」
俺たちの前に現れたのは伯爵家を筆頭とする子爵&男爵等の中下級貴族の令息である。勿論、俺たちとは全く接点もない。正直、呆れを通り越して哀れにすら思えるくらいだ。取り敢えず俺が真偽を確かめる事にした。フィーネは俺に任せて事の成り行きを見守ることにした
「・・・・君たちさぁ、自分達が何を言っているのか理解してるのか?」
「ふん、公爵の名を欲しいままに好き勝手行い、あまつさえモルゼン子爵令嬢を休学に追い込んだ張本人に天誅を加えに来たんだ!」
「証拠はあるのか?」
「モルゼン子爵令嬢が僕たちに泣きついたんだ!」
「・・・・それだけか?」
「まだあるぞ、目撃者もいるんだ!」
「ほぉ~、目撃者ね。」
隠密の知らせで分かった事だが誰一人、フィーネがミリア・モルゼンの私物を壊すのを目撃しておらず、自作自演の可能性が高い。取り敢えず存在しない目撃者について聞いてみた
「それでその目撃者はどこにいる?」
「い、今は病欠だ!」
「病欠とは・・・・君たちは実際に見たのか、フィーネがモルゼン子爵令嬢の私物を壊すのを。」
「み、見るわけないだろう!僕たちはモルゼン子爵令嬢から聞いたんだから!」
「そのモルゼン子爵令嬢が嘘を言っていたらどうするつもりだ?」
「う、嘘だと!」
「そうだとも。もし嘘をつき、フィーネに濡れ衣を着せるとなれば、モルゼン子爵家はタダでは済まされないぞ。現に学園長先生も例の噂を聞いて動き出したんだからな。」
学園長の名を聞いた途端、令息たちの表情が青ざめた。俺はすかさず令息たちに事実を述べた
「因みに事件が起きた日は俺とフィーネは友人たちとテラスで談笑していた。勿論目撃者は多数いる。」
俺が言うと俺とフィーネと共にいた友人たちが続々と名乗りをあげて、アリバイを証言し始めた。更に目撃者もおり、令息たちは冷や汗を流し表情は真っ青を通り越して真っ白になった。そして止めとも言える決定打をぶちこんだ
「それとモルゼン子爵令嬢が休学となったのは俺とフィーネの実家が此度の事を見過ごす事が出来ぬゆえ、モルゼン子爵家に抗議文を送ったからだ。」
それを聞いた令息たちは事の事態にようやく気付き、すぐに土下座をして俺とフィーネに謝罪した
「申し訳ございませんでした!」
「「「「「大変御無礼致しました!」」」」」
「君たちさ、御免で済んだら騎士団はいらないよ。それにさ、君たちはモルゼン子爵令嬢の口車に乗ってフィーネを糾弾した事、許すつもりはないからね。」
「お、御待ちください!僕たちはモルゼン子爵令嬢に騙されたんです!」
「だから何だ。フィーネに喧嘩を売ったという事は婚約者である俺にも喧嘩を売ったも同然なんだよ。ましてや伯爵家と子爵家と男爵家が公爵家に喧嘩を売ったとなればどうなるか君たちにも分かるよね。」
「ど、どうか御慈悲を!」
「俺もフィーネもモルゼン子爵令嬢と君たちの蛮行を許すつもりはない。精々、荷物を纏める準備だけはしといた方がいいぞ。」
令息たちは力尽きるように項垂れた。騒ぎを聞き付けた教師たちによって令息たちは補導された。俺とフィーネも簡単な事情聴取を受けた後に解放された。その後、令息たちは停学となり屋敷にて謹慎処分が下った。令息たちの親が俺とフィーネの実家に謝罪に来ると共に多額の慰謝料を支払った。それだけではなく令息たちと婚約を結んだ令嬢たちの実家も此度の問題を注視し婚約解消及び慰謝料を請求し令息たちの実家は没落まっしぐらである。問題を起こした令息たちとあって多額の借金のために母親以上の年齢の夫人の男娼として生きるしか道がなかった。肝心のモルゼン子爵家からは一向に謝罪する気配もなくかといって社交界にも顔を出さず不気味なほど、沈黙の日々が続いた
「モルゼン子爵家は何をやってるんだか・・・・」
私はミリア・モルゼン、私の実家は絶賛、奈落の底へまっしぐらです
「このバカ娘!なんてことをしてくれたんだ!」
「まって、ミリアは悪くないわ!悪いのはオルテンブルクの令嬢よ!」
「喧しい!お前のせいでモルゼン子爵家は終わりだ!」
どうやら私が行った自作自演がばれてオルテンブルク公爵家とアルタイル公爵家から抗議文が届いたのである。父は双方からの抗議文に驚愕し、すぐに私を問い詰めた。オルテンブルク公爵令嬢にはちゃんとしたアリバイがあり、目撃者もいた事から私が自作自演した事がすぐにばれて、父から思い切り殴られた事は今でも覚えている
「私はママのように愛に生きたかったのに・・・・」
私の母はモルゼン子爵に見初められて愛人になりました。勿論、正妻であるモルゼン子爵夫人に内緒で逢瀬を重ね、私が生まれました。歳月が経ち子爵夫人が亡くなり、私の母は後妻として子爵夫人となり、私も子爵令嬢になり貴族の仲間入りを果たしました。元平民という事もあって私と母は父の親族たちから快く思われておりませんでした。父は母と私のために貴族として生きるために家庭教師やらなにやらの世話してくれました。それから数年が経ち、私は転校という形で貴族が通う学園に入学しました。私には婚約者がおらず、学園の中で探そうと決めていた。そして見つけた、相手はアルタイル公爵家の令息であるレオン・アルタイル、私は一目惚れし何度か近づこうとしたがタイミングが悪く、会えず仕舞いである。最悪な事に婚約者であるフィーネ・オルテンブルクがいつも一緒であり、周囲から【淑女の鑑】とか【お似合いのカップル】と噂されるほど仲睦まじい関係を築いているらしい
「あの女さえいなければ・・・・」
私の中で何かが弾けた。あの女がいる限り、私はいつまでたってもレオン・アルタイルの恋人になれないと感じ、フィーネ・オルテンブルクに対して嫌がらせを敢行した。私は自分の私物を破壊し、私に想いを寄せる如何にもモテない令息たちに泣きつき、信じ込ませる事に成功した。私は自分の才にほれぼれしつつ屋敷へ帰るとお父様が血相をかえて私を問い詰めた。私がフィーネ・オルテンブルクに嫌がらせをしているとオルテンブルク公爵家とフィーネ・オルテンブルクの婚約者であるレオン・アルタイルの実家であるアルタイル公爵家から抗議文が届いた。抗議文と聞いた私の頭の中は真っ白になった
「(なんで、なんでレオンの実家から抗議文が・・・・)」
そして今に至る。もう駄目だと項垂れる父と私は悪くないと庇い続ける母の姿を他人事のように見続ける私・・・・
「どこで間違えたんだろ。」
モルゼン子爵家はその後、当主が子爵位を親族に譲り亡くなった前妻の墓の前で自害して果てた。母親と娘は奴隷として売られ、その後は行方知れずとなった。その知らせを聞いた俺は結局、謝罪する事もなく勝手に消えた事に怒りを通り越して呆れかえった
「結局、何がしたかったんだよ。」
その後の俺とフィーネはというと学園を無事に卒業し、現在は俺とフィーネの結婚式が行われていた
「結局、俺たちずっと一緒だな。」
「そうですわね。」
「俺のような怠け者の旦那を持って後悔しているか?」
「ふん、何を言うのかと思えば・・・」
「本気で言ってるんだぞ。」
「怠け者の貴方が私の事を守ってくれたんですもの、後悔するわけがないではありませんか。」
「やけに素直じゃないか。」
「ふっ、今日だけは素直になりますわ。」
「今日だけかよ。」
「ふふふ。」
「(笑顔が可愛いな。)」
レオン・アルタイルとフィーネ・オルテンブルクは結婚しその後、2男2女の子宝に恵まれ幸せに暮らしましたとさ・・・・
「めでたし、めでたしってか。」
「調子にのらないでください。」
「素直じゃないお前も可愛いぞ。」
「・・・・バカ(照)」
俺の許嫁が可愛すぎる マキシム @maxim2020
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