そういうおはなし
睦 ようじ
第1話
聖地巡礼、知ってるかい?
そう、アニメやゲームの舞台やモデルになってところを見に行ったりする事だね。
本当は宗教の伝統ある場所に行く事なのに日本だからかなと思ったよ。
私はそこでイベントを運営した人を見てきた。
外見?ふつうの方だったよ。
よく漫画やアニメの昔のテンプレートなオタクっぽい人がいたけど、親切だったね。
まだ学生だったから若さで体力はあれども場所は分からず、へとへとになっているところを
「イベント行く人ですよね、乗ります?」
って車に乗せてくれたし、ジュースもいただいた。
ペットボトルでは確か無かった気がする。プルタブ式の缶ジュースだったかな。
結構片付けるの大変なのにありがたかったよ。
その後、長い道のりを超えて行った先には手縫いのコスプレをしたお姉さんが、
受付をしてて記帳をお願いされた。
ただの名前だったけどね。個人情報保護も無かったら今じゃできないよね。
あぁ、でもコスプレイヤーの方はさすがにハンドルネームというか別の名前だったかなぁ。
その後、主催者の方が丁寧に挨拶してアニメのクイズ大会や食事会をしたり、
参加者の方と別のアニメの考察とか裏設定とか話し合ったものさ。
そんな大きなものじゃなかったね。
でも困った事はあった。話についていけられない。
今みたいにネット配信何かありゃしない。話に加われないから困ったなぁと思ったらある方が
「アニメ一本じゃ面白くないよ、色んな趣味を持ってみなさい」
って言われた。
そうすると面白いものでね、声優さんの演技から始まり、舞台の演出や演技論、
車やバイクのメーカーの最近の事情やパーツの何がいいとか話し合ってたり、
コスプレイヤーの衣装の縫い方や素材が無い時の工夫、後は成人してからのお酒の上手な付き合い方も聴いたかな?
後、責任を取る事も教えられた気がするね。
後で聴いたけど場所を借りるのにちゃんと場所を所有者にお電話をして、
菓子折りを準備して折り目正しく
「これこれこういう事情でお貸しください」
って挨拶したそうだね。まだサブカルチャーって言葉もなかったし
正直、大人がアニメを見るのは眉をひそめられた頃だからね。
でも、そういう態度で行ったからか
「清掃をしっかりしてくれるならいいですよ」
と、快く貸してくださったそうだ。それを聴いたから私もちゃんと清掃した。
今かい?
・・・・・・そうだね、イベントは無くなったけどたまに偲んで見に来る人はいるらしいね。私もいつか折りを見て行きたいと思う。でもあれで
「大人の人とはこういうものなんだなぁ」
って印象は残ってる。まだ、ご縁がある方は普通のお父さん、お母さんになった。
たまに気が向いたら最近の漫画やアニメのイラストを描かれてるようだよ。
今日の話はこれまで。
また。
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