改変童話
濡羽 天使羽
第1話 三びきの子ブタ
昔、おばあさんと三匹の子ブタがいました。
ある時、おばあさんが子ブタたちに言いました。
「この家にはもう食べる物がないよ。みんなここを出て、私が教えたさまざまな建築様式でそれぞれ家を建てなさい。そうお告げがあったよ」
そこで、三匹に子ブタは、それぞれ家を出ました。
初めに家を出た子ブタは、イギリスの代表的な建築様式のチューダー様式で家を建てました。
すると間もなくオオカミがやってきました。
「な、なんか違和感が……」
と言うと子ブタは不敵に笑って、
「フン!違和感があって当たり前さ。なんせあばあさんに教えてもらったチューダー様式を少し弄ったからね。どうだい僕の家は。ふっふーのふーと一吹きで吹き飛ばせないだろう」
「いや、こんな綺麗で面白い家を吹き飛ばしたらもったいない。そもそも吹き飛ばせないし……」
頰を掻きながらツッコんだ。
でも、一応吹いてみました。結果は吹き飛ばされませんでした。
初めに家を出た子ブタはオオカミに食べられずに済みました。
二番目に家を出た子ブタは、ロシア・クラシズム様式で家を建てました。
すると、やはりオオカミがやってきて、
「ここも何か違和感が……しかもこの家も綺麗で面白い家だなぁ。ふっふーのふーを二回で吹き飛ばすのは何か惜しいな。そもそも吹き飛ばせないし」
そして、ここでも一応二回吹いてみました。結果は吹き飛びませんでした。
二番目の子ブタも食べられずに済みました。
三番目に家を出た子ブタは、飛鳥様式で家を建てました。
飛鳥様式の家は最初と二番目の子ブタが建てた家と同様に綺麗でした。
ここでも何回吹いても吹き飛ばせないともう分かりきっていましたが、一応吹いてみました。結果はやはり吹き飛びませんでした。
オオカミは
「何かいろいろと想定と違った。どれも綺麗で面白い建築だった。しかも一つ一つ国が全然違った」
と感想を言って、帰っていきました。
次の日、オオカミがやってきて、子ブタたちにそれぞれ呼び掛けました。
「俺の自分の家を建ててみたんだけど見てくれないかい?」
「いいよ。何時に行くの?」
子ブタが言うと、オオカミは、
「六時半だよ。あと二匹の子ブタも誘いに行かないといけないから」
と答えたので、子ブタたちは五時半に集合して、家の前にオオカミが建てた家の感想を一つ残してきました。
オオカミはその感想をもとに建て直し、また言いました。
「明日の五時十五分に、俺が建て直した家を見にきてくれないかい?」
そこで子ブタたちは四時四十分に集合して、建てた家のダメなところをそれぞれ十個残してきました。
またダメ出しを貰わないように三匹の子ブタが建てた家の少綺麗、面白いと思ったところを少しずつミックスしてオリジナルの家を建てました。
子ブタはオオカミが自分たちの家を少しずつ取り入れているのをみておばあさんに紹介してみたくなりました。
おばあさんにオオカミのことを話すとぜひ会ってみたいということで会う機会をつくりました。
おばあさんとオオカミは師弟関係になりました。
そして、食料問題はオオカミが食べ物を持ってくる代わりにオオカミはおばあさんから建築様式を学ぶことで解決しました。
三匹の子ブタたちはおばあさんの家の周りに家を建て直しオオカミとあばあさんとご近所付き合いをしながら幸せに暮しました。
**********
あとがき
三匹のコブタはもともとディズニー製作のアニメーション短編映画作品です。それをこんな風だったら面白いかなと改変してみました。
これを書くときにもう一度読みなおしたら意外とホラーで少しビビりました。
こんな風に他の童話も改変していきたいと思います。
ちなみに、最初の子ブタのチューダー様式はイギリス、二番目の子ブタのロシア・クラシズム様式はロシア、飛鳥様式は日本の建築様式です。
飛鳥様式は法隆寺に用いられています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます