Alleluia MOEluia BLuia! アルテム・カエレスティス

PAULA0125

ムジカ

第1節 破壊のあるところには

 燃え尽きた街を見て、田舎帰りの少年は、ただただ立ち尽くすしか無かった。田舎に行けなかった家族や幼なじみの女の子とは、まだ会えていない。

「どうした坊主。風邪ひくぞ。」

 ふと、苦い火の匂いがして、驚いて振り向くと、タバコを吹かしている青年がいた。見慣れない男だ。

「…、まあ、気持ちはわからんでもない。手を出してご覧。」

 言われるがままに、手を伸ばす。男は手を握り、スっと手を前に出して、言った。

何事にも時がありomnia tempus habent et天の下の出来事には suis spatiis transeuntすべて定められた時があるuniversa sub caelo。―――神よ、過去と今と未来を同時に見据える方。あなたの視界をこの小さなものに一時、お貸しください。」

 その時、少年の周りの焦土は、すぐさま緑に色づき、石のタイルを敷き詰めた公園になった。奇天烈な像の前で、一組の老夫婦が、何かを語らってる。

「あそこにいる老夫婦は、60年後のお前と幼馴染だ。」

「え……。じゃあ…!」

「ああ、お前の幼馴染は生きてる。佐世保鎮守府さちんの方へ行ってごらん。海軍基地のあるところだから、真っ先に焼けるべきところだが、そこにいる。」

 少年は走り出した。少年の足元からは、復興への希望の花びらが舞い上がっていた。

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