謎の秘密結社(自称)に拉致られて異世界転生したので、『ゲームプレイヤースキル』を活かして攻略目指します!

きままなじんせい

第一章 異世界転生させられました

第1話 開封の儀:拉致られて異世界転生

 【警告】 この物語はフィクションです。実在の人物、名称、思想、事件、団体などとは一切関係ありません。加えて、この物語に登場する人物、地名、団体などは全て架空のものであり。

 また、劇中で行われる暴力行為、残虐行為、危険的思想などを幇助・推奨する物でもありません。


 以上のことを同意して頂ける方にのみ、これからお話しする『ある世界で起きたこと』の顛末をお教えいたします。



 同意して頂けますでしょうか?


  ▶はい

   いいえ



◇――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆



 俺の名前は夕輝周夜ゆうきしゅうや。学校の評定はギリギリオール三、彼女いない歴=年齢、部活は帰宅部、趣味はゲーム三昧の生活、そんな感じの冴えない高校二年生だ。



 単刀直入に言おう、これは俺が――『異世界転生“させられる”物語』だ!



 え? 『そんな物語イマドキたくさんある?』、『どうせとんでもないチート能力で主人公が無双するだけの虚無なんでしょ?』、『勝ったな風呂食ってくる?』……まぁ、うん、そりゃあそう思うよな。

 とりあえず、かったるい説明とかはさておき、実際に読んでもらった方が早いかも? じゃあ、話そう。


 ことの発端は、俺があの日、自室にてお気に入りのゲーミングチェアで耳にヘッドホン、ポテチとコントローラー片手にくつろぎながら最近買ったばかりの新作ゲームを遊んでいた時だった――。




「いやぁ……! まさか偶然隠しルートを見つけてしまうとはッ! やっぱり、このゲームは神作だな!」


 思いつきで全キャラルート制覇という無謀をめざして遊んでいたら、なんと! 二周目にして隠しルートを発見してしまった! こんなに嬉しい気持ちになったのは、小学生の頃にガンシューティングゲームの大会で準優勝した時以来だ。


 このゲームシリーズ、ルートのフラグ管理がメチャクチャシビアで一つでもミスをしたら即アウトなルートもあるくらいだから、初見で隠しルートのフラグを全部踏めたのはマジでデカイ!


 いやはや、最高だな! 大きな連休利用して一気にゲームやるのは! しかも今日は、Barazonのネット通販で注文した新作RPGゲームも届く日だし、今日は何から何まで絶好調ッ!!


 そんなウッキウキな気分でいると、突然家の玄関のインターホンの音が鳴り響いた。それすなわち、待ち望んでいたものが来たということだ!


「よっしゃ! キタァァァァァァァーッ!! おっとっと、セーブは忘れずに……良し!さっそくお宝を取りに行こ!」


 俺はそう言いながら、ゲーミングチェアからすっ飛んで階段をドタドタ猛ダッシュで降りて、そのまま一階の玄関に向かって行った。

 うちにはインターホンを鳴らした側と通話できる受話器があるので、念の為相手を確認してみたら宅配便の人だった。ということはコレはもう確定演出だろう!


 料金は着払いだそうだから、財布とボールペンを忘れないよう握りしめつつ、お宝を受け取るために玄関の鍵を開けた。


「はい、どうも! 今お金とサインを――え?」


 だがしかし、扉を開けた先で待っていたのは明らかに宅配便の人ではなかった。全身黒装束くろしょうぞくで、眼だけ出せるタイプのとんがり帽子を被っていて額には『謎』という一文字がプリントされていた。


 時すでにおすし……もとい遅し。


 その怪しいヤツが、ふところから光線銃っぽいモノを取り出して僕に構えてきた。そして、そいつが引き金をひいた瞬間、全身に強烈なシビレと激痛が走りそのまま意識が消えていった。



◇――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆



 それからどれだけ時間がたっただろうか……? ぼんやりとだが、じょじょに意識が戻ってきた。ここはどこだ? 目隠しでもつけられているのか目を開けてもまっくらで何も見えない。口もガムテープか何かでふさがっていて声も出せない。


 それに、全身を襲ったシビレも激痛もなくなっていたがそのかわり身体の自由がぜんぜん効かない。どうやらイスか何かに座ったままヒモみたいなもので縛りつけられているようだ、かたくてまったく身動きがとれない。


 

 ひょっとして、俺は拉致されたのか!?



 唯一耳だけは聞こえているのでふと耳をすませると、なにやらぼそぼそと“人の話す声”が聞こえてきた。しかも日本語でだ! それどころか、こっちにカツンカツンとゆっくり近づいてくる足音まできこえてきた!? ヤバイめちゃくちゃ怖い! この前やったホラゲーより断然怖い!


 足音がすぐ右横まで近づいて止まった、一体何をされるんだ!? そんな感じにビビりちらしていたら、誰かに不意に顔をさわられた。

 というより、誰かに目隠しと口のテープを外された。せめてテープ外すときはもう少し優しくして欲しかった……。


 やっと見えた景色はとても良いものとは言えないモノだった、どこにあるのかは分からないが、昔のサスペンスドラマに出てきそうな雰囲気の広い倉庫みたいな場所だった。そして、周りにはさっきの黒装束のヤツとまったく同じ格好のヤツらが十人ぐらいいて、ぐるっと円形に俺を囲んでいた。



「夕輝周夜君……デ良インダヨネ?」



 突然、さっき目隠しとテープを外してくれたであろう右側にいるヤツが紙の束を片手に話しかけてきた。少し声の低い男の声だ、というかなぜ名前を知ってるんだ!?


「三月生マレノ十六歳。住所ハ神奈川県・EX市デ、母・父・妹ト合ワセテ四人家族。学校ワ、自宅カラ片道一時間ノ距離ニアル響紅ヒビク学園高等学校ニ所属。恋愛経験一切ナシ。趣味ハゲームデ、RPG・シューティング・シミュレーション・オープンワールドナドナド割ト色々ヤル方。マタ過去ニガンシューティングゲームノ公式全国大会デ準優勝シタ経験アリ、ナオソレ以降ハ大会等ニハ他フクメ一度モ出レテイナイ。周回プレイガデキルソフトハ必ズ二周目ヲ遊ビ、エンディングワハッピーエンド以外認メナイ主義デ、仲間キャラクターノ報ワレナイ展開ニワ何ガナンデモ抗オウトスル性格……デ合ッテルヨネ?」


 そして恐ろしいことに、こちら側の素性はほぼ知られてしまっているようだ。いや、本当になんでそこまで知ってるの!? 軽く引くんだが……。


「……言葉通ジテル、ノカナ? ジ、ジャア――覚悟ハイイカイ?」


「いや、待って何の!!?」


 おもわず大きな声が出た。というか、何!? マジで何されるの俺!? 肩に手をポンって置いてキリッとした声でサラッと何言ってんのこの人!? 覚悟って何の覚悟だよ!?


「ア、良カッタ言葉通ジテタ! ジャアサッソク始メヨウ!」


「いや、だから何を!!?」


 この人ォ……ひょっとして“言葉”通じるけど“話”は通じない系なのか!? というか、マジでなんなんだこいつら!? 宅配便装って人を拉致・拘束しといて、明らか何かするつもりだし! 服装も黒装束に目出しとんがり帽子で、額に『謎』って一文字がプリントされた絶妙にダサイかんじだし!


「ウーン、モシカシテ、ヨク分カッテナイ? 説明シタ方ガイイノカナ?」


 当たり前じゃい! 逆に今のをどう解釈したら理解できるんだ!? 人間は言ってくれなきゃ分からない生き物なんだよ!?


「ジャア、説明スルヨ。マズ、私タチハ実ハ『異世界人』デ異世界ヲ救ウタメニ結成サレタ組織、通称『謎ノ秘密結社』ノ一員ナンダヨ! ソレデ、今異世界ガヤバイカラ味方ニナッテクレソウナ『転生者』ヲクジ引キデ決メテタンダ! ソレデ――」


「リーダー、“ヒズミ”ノ発生マデアト三十秒デス。イソイデ」なんか、部下っぽい雰囲気の人が話をぶった切ってきた。


 てか……は? 『異世界』? 『謎の秘密結社』? 『転生』? ドユコト? もしかして俺、ガチでヤバい人らに目をつけられた!?


「エ、ホント!? ジ、ジャア後ハ現地デモラエル『スキル』ヲ中継シテハナスヨ! アトハヨロシク! “トラック”ヨウイッ!」


 え!!? ちょちょちょ、ちょっと!? 今トラックって言った? というか、なんだか周りのヤツらがあわただしくなってる? ど、どうなってるんだ?


「トラックヨウイ完了デス、“ヒズミ”発生マデ十五秒」


「……え?」


 困惑する俺の前に現れたのは、“予想はつくけど本気でくるとは思わない”タイプの光景だった。ひびきわたるエンジン音、四つの車輪、やや長方形風に広めのフロントガラス、大きくて四角い後ろの荷台、それはまごうことなき『車のトラック』だった。


 その瞬間、俺は悟った……!イスに縛られ身動きがとれない自分の状況、『異世界』、『転生』、『覚悟』、これから自分が! そんでもって、最悪なことにトラックは予想どおりエンジンをふかしながら真っ直ぐこちらに向かってきた!



「ちょ、ま!? 待ってまってマッテ!!? 嫌だいやだイヤダ!! マダチ二タクナ――」



 断末魔を最後までいい終わるまえに、全身に想像をはるかに絶する激痛と衝撃がはしり。俺の意識は、はるか彼方までぶっ飛んで砕け散りながら消えていった……。



◇○×■……#!♡=☆――&W*?+六;「」○●――#M×……○%□七★=◆

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