段階

 テニスのとある大会、その二日目。

 今日は決勝まで実施される。


 俺は順当に勝ち上がり、決勝の相手は近頃話題の実力者。

 ただ彼はスロースターターらしく、初戦で負けることもしばしばらしい。


 決勝まで上がってきたということは、充分温まってきたということだろう。


 恐らく本調子であろう彼に、なんとか食らいつき、1ゲーム先取。


 この調子なら……


 と、希望を見たのも束の間、次元の違う超高速サーブが俺のコートに突き刺さる。


 唖然と立ちすくむ俺をよそに、相手は呟いた。


「そろそろ次の段階行くかぁ」



 ……こいつ、たぶんあと2回くらい変身しそう。

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