六 「こしきさま」 匿名
ここ数年、ネットで「ナントカ様」っていう形式の怪談をよく聞く。
それで、色んな「ナントカ様」の怪談を読んでいて、ふと思い出したのが、うちの母さんの実家の地域に、「こしきさま」っていう神様?の話があるっていうのを、小学生くらいの時に、ばあちゃんから聞いたことがあった。
それがなんか意味不明というか、気味の悪い話だった。
ネットの話にみたいに、ちゃんとしたオチがあるわけじゃないから、微妙だけど投稿してみます。
ばあちゃんの住む町は、昔は大きな街と大きな街を繋ぐ宿場町、と大きな街の間にある、旅人はよく通るけど、泊まるまではあまりしないという感じの田舎だったらしい。
だから、宿泊するところはあまり多くないんだけど、泊まってくれる人自体がありがたいから、結構なおもてなしをするみたいなかんじだったらしい。
で、その旅人を祀った「こしきさま」って神様がいたらしい。なんで、旅人が祀られているのか、ばあちゃんもよくわからないんだけど、その祀っている場所には絶対に行くなと強く言われていて、ばあちゃんは小さいころからその「こしきさま」がなんか怖かったと言ってた。そもそも、どこに祀られているか、誰も教えてくれないんだけど。
ある日、朝から町の神主さんとかお偉いさんが騒いでて、ばあちゃんの父さんも、緊急集会みたいなのに呼ばれて出ていった。
昼くらいに帰ってきて、話を聞いたら、その「こしきさま」が祀られている場所が何者かに荒らされていたらしい。しかも、「本尊」が壊れていたとか。「本尊」がどんなものかは、一部の神職とかしか知らないから、どうなっていたかはわからない。
で、犯人を探すだの、本尊を作り変えるだの、新調するだの、すごい騒ぎだったそう。
そんで、一週間くらい経って、ばあちゃんが友達と一緒に遊びに行く途中にある同級生の一軒家の前を通りかかったら、その家全体がしめ縄でぐるぐる巻になってた。
なぜか窓カラスとか、玄関のドアとか、出入りできそうな場所全部取り外されてて、異様な感じだったらしい。
恐る恐る玄関から家の中を覗いたら、よくわからない白い粉まみれになってた。床だけじゃなくて、壁とか天井とか、玄関から見える範囲全部が粉まみれだったみたい。
ばあちゃんのお父さんが言うには、見える範囲だけじゃなくて、家の中が全部そうなってる、らしい。
それ以来、その同級生の家族全員、一度も見たことがないし、生きてるのか死んでるのかも誰も教えてくれなかったそうだ。
今でも山のどこかに「こしきさま」は祀られているらしいんだけど、ばあちゃんは探すなんて怖いことできなかったし、それ以来、同じような事件もなかったから、神主さんとか、そう言う人だけが知ってるんじゃないかって言ってた。
その一家が、こしきさまに消されたのか、こしきさまから逃げるための儀式だったのかはわからないんだけど、多分、こしきさまは何らかの危害を加える存在なんだと思う。
こういったナントカ様って、人に危害を加える存在なのに、「様」を付けてちゃんと祀られてることが多いけど、それって何をするかわからない危険な存在だから、丁重に扱ってんだろうなって、ばあちゃんの話と、最近よく聞くナントカ様の怪談の話を聞いて、納得いった。
余談だけど、「こしきさま」について、ネットで調べたら、「こしきさま」はヒットしなかったんだけど、「こしき」っていうものは存在しているらしい。しかも、二つ。
一つは、
もう一つは、車輪の輪っかの中央の太い部分のことらしい。
家中が真っ白になってたから米と関係があるのか、旅人が使う牛車とか荷車と関係があるのか、それとも全く別の意味なのか、今となっては知りようもないけど、少しだけ繋がっていてちょっと気味が悪かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます