SPYなやつら
@charm1091
第1話 真っ黒な幼少期
至って平凡...な人生ではなかった。
しかし幸せを感じぬまま、わたしは死んでしまった。
幼少期の話をしよう。生まれた時から私は、自慢じゃないが人より容姿が良かった。
一般的に普通に羨ましい限りだが、わたしの場合は違った。
可愛すぎるが故に幼少期から高校までずっといじめられていた。
性格が悪いということはない。ただの妬みだった。
ひどい時は盗ってもないカバンを盗ったとずっと言われ犯人呼ばわりされるという訳の分からないことをされていた。
酷い時なんかプール帰り、わたしの下着や靴下が盗まれたり、自分の靴がトイレの中に投げ込まれていたり。
しかし、先生は見て見ぬふりでわたしのことは“無”状態。
家族はというとこちらも無関心で、父と母が年中無休で大喧嘩。
わたしは高校を中退し、引きこもり状態になった。
その中、わたしが一番心が落ち着くのが押し入れの中だった。
押し入れの中で、唯一優しかったおばあちゃんが買ってくれた、仲間と一緒に冒険するファンタジーな漫画の10巻セットを読破していた。
一巻ごと買ってくれるその日を楽しみに待ちわびていた。
しかしそんな日もやがて来なくなる。唯一の救世主おばあちゃんは亡くなってしまい、仕方がないから10巻セットの漫画を何百回も読み返した。
今でもセリフはほとんど言える程だ。
漫画にも飽き、生きる喜びも何もかも失ったわたしはこの漫画みたいな“仲間”が欲しかった。
ただそれだけ。深い望みはしない。
誰でもいい...仲間が欲しい...
意識がもうろうとしてきた。
そういえば数か月何にも食べてない。
眠たい...眠い...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます