『言葉を飾らないよね』
本日は普段執筆してる場所とは違う場所での執筆になるので文字数が少ないです。
予め御了承ください。
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「えー、皆さんはこの度中等部の生徒となります。中等部とは成人する前のとても重要な期間である2年間を過ごすものであり、この時のアナタ達の頑張り次第で今後のアナタ達の人生は大きく左右されることでしょう。
また───」
首都の学園中等部。その第一多目的グラウンドにて中等部の学園長からのアリガタイオハナシがされる。
真面目にこれを聞くのは本当に生真面目な奴だけで、それ以外は聞いてる振りをして軽く流していることだろう。
かくいう俺も元々はそういった部類の人間だった。ただ長いだけの話しなんて時間がいくら有っても足りない俺からすればただの無駄だったから。
だが魔王と出会い、その魔王も俺のこれからの2年間について似たことを言っていた。
俺の中での魔王の評価は既にかなり高い。というのも、この1ヶ月で彼の凄さを十分感じ強さに関することであれば信頼を置いても良いと判断したためだ。
その魔王と同じことをこの学園長は言っている。だからある程度は聞こうと思った訳だ。
『あれ、意外だな。サースはこういうの時間の無駄とか言って適当に流す人間だと思っていたよ』
魔王からそんな通信が入った。
今受信したこれは、俺が考案し魔王が創造属性と魔力でゴリ押しして創られた『通信のイヤリング』という代物の能力で、魔力を流せば対となるイヤリングをしている者と言葉を介さず話せるという物だ。
今俺は眼鏡と呼ばれる物をしている。これは『送受信の眼鏡』という物で、これも俺考案、魔王が作成した道具だ。こちらは2つのレンズの内の片方を受信、もう片方を送信専門のレンズとすることで、魔力を流すことで任意に対となる『送受信の眼鏡』に自らの情報を送ったり、逆に対となる眼鏡側の情報を見たり出来るという物だ。
これ等を介して魔王は俺の様子を見て話し掛けて来た訳だ。
『一応、アンタと同じことを言ったからな。もしかしたら俺にとって身になることを話すかもしれないと思って聞くことにしたんだよ』
『ハハ、俺と同じことを言ったからだって?一月前じゃ考えられない言葉だな』
『アンタそれだけ行動で俺に示したってことだ。強さに関することでアンタは既に十分俺に利益をくれた。なら信頼するのは当然だろう』
『あー、サースはアレだね、言葉を飾らないよね』
『飾った所で意味は無いからな。言いたいことを伝えるのにいちいち言葉を飾っていたら時間のロスだ』
『……サースに彼女が出来るか心配になるね』
『俺はそんなもの作る気は無いさ。だから言葉を飾るだなんて必要無いんだよ』
魔王と話しながら学園長の話も聞く。ただ、俺にとって重要だと思えるようなことを話したのは最初だけで、後は半分以上が自分の自慢話だった。
もう半分は学園の施設に関する軽い説明で、それについても既に知ってることだけだったため結論としては時間の無駄だった。
そんな時間の無駄を魔王との会話をすることで潰し、新入生それぞれがそれぞれの教室へ移動することになった。
俺は心の中であの学園長の頭皮が禿げるのを祈りながら俺と同じクラスだと思われる奴等と共に引率の教師に連れられ教室へと移動した。
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