たった数千円のために
@aragakiyui0611
第1話 世の中、いい人ばかりじゃありません。 こういう事も起こるかもしれませんね。
また、朝からスマホが鳴った。
画面を見ると、白方敏夫となっている。借金の申し込みかよ。
借金と言っても、毎回数千円単位から3万円までの小口だ。
スマホを取り、気怠い声でモシモシと答えると
「諸さんお願いがあるんですが」
「俺がいくらだ」
「3000円、お願いできますか?」
いつものことだけど、小さい男だよな。
「判った、取りに来いよ」
「すぐに行きます」
10分後に白方は、俺の家に来た。
「諸さん、利息をつけて5000円でいいですか?」
俺は、在る考えがあってああ~と言っておいた。
どうせ白方のことだから、返しに来てその場で借金を申し込むのが目に見えている(世にいう自転車操業だ)。
5日後にスマホに、実験者の名前が表示されていた。
『白方 敏夫』と。
「今から行ってもいいですか?」
「ああ」
10分後に、ボロイ自転車に乗ってやってきた。
「諸さん、利息込みで5000円とこれ受け取ってくださいとコンビニ袋を差し出されて、あのぅ~~w」
「俺が、いくらいるんだ?」
「白方が、1万円で1.3万返しでどうですか?
「俺が、白方に大変なんだろ?」
「ええっ、まぁw」
俺は、頭の中で考えていたことこの場で実行することにした。
「白方、落ち着くまでって言い方おかしいけど少し金が残るまで3食俺が食わしたろか?」
「日雇いの仕事がある時は、握り飯を持たせたるし朝はパンと紅茶で夜は1品料理でどうだ?」
「それじゃ、諸さんが損するでしょ?」
「まぁな、じゃあ月1万でどうだ」
「お願いします^^」
俺はこいつはどうなるんだろうと、密かな楽しみが出来た。
翌日から白方は、俺の家へとせっせと通いだした。
俺は、白方の御飯には俺が並行輸入で購入した女性ホルモンの錠剤を2錠ほどすりつぶして混ぜている(無味無臭)。
白方の借金は、直ぐに無くなったけど毎日の食事が目当てで借金返済が終っても通い詰めている。
俺もそうだったけど、毎日6錠も女性ホルモン剤を摂取しているのだから白方の身体は見た目は男性だけど、構造的には精子の作れない男性もどきと云うかなんと言い表せばいいのか分からない物になっている。
3ヶ月ほど過ぎた頃に白方が、相談があるのですがと改まって言ってきた。
「俺がどうした?」
「諸さん、ご飯に何か入れてます?」
「はぁ~?」
「何も無ければいいのです?」
「待てよ! その言い方だと俺が疑われたままだろ。」
「何か、納得できないなぁ」
「ちゃんと、説明してみろよ」
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