離れ小島にある潰れたカルト教団の施設跡を見物に来た男性のお話。
ちょっと不穏な現代ものの掌編です。
妙ちきりんな新興宗教の遺した、なんだかクセの強い廃墟。物見遊山で訪れるのはあまり良い趣味とは言えない……というのは、主人公自身が作中で語っている通りなのでしょうけれど。
しかしそれはそれとして、興味が湧いてしまう気持ちはわかってしまうのが困りもの。
おかげで他人事ではなく、ちょっと身につまされながら読みました。
好奇心は猫をなんとやら。主人公に待ち受ける結末も、少なくとも平穏なものではなく……。
じわりと滲むようなホラー感が好きな作品でした。