第7話 真相の全て
「そんなこと言ってる場合か!」
「
「それがどうした!」
「あら? そこまでして、ただで済むと思ってるの?」
にっこりと笑うカンラギの顔は――どこまでも美しく、そして
「そんな話をしている場合か! 今この
「出てないわよ?」
落ち着いた様子で、さらりと言ってのける――情報戦において完全に上であることを示した瞬間であった。
「……やはり
「彼の言ってることは本当よ。その一
「直接……?」
「えぇ、ありがとう。こちらの不手際の可能性が十分にあるワームビーストの
「演習のミスを……被った?」
顔面
「そうよ。ありがとう」
「き、聞いてないぞ!」
「それはおかしいわね。私は副会長のガレスくんにちゃんと報告したし、彼からちゃんと伝えたって教えてもらったのだけど?」
「副会長?」
第二生徒会副会長がガレスというものなら、目の前にいるのは
「いや、その……えー、
ナルギ=シェーンがしどろもどろに言い訳をするが、他の人達が特に
「確認ぐらいならとっていいんじゃない?」
「確認……ぐらい?」
「えぇ、いくら副会長と折り合いが悪いと言っても、確認ぐらいなら
「お前は……お前は全て知ってた上で――」
シズハラは二つの事件を別物だと考えていた。
しかし、実態は
「正直状況はよく分かっていなかったの。何も分かっていないあなたが豊かな
クスッと
「今回の不手際を帳消しにしてくれるんですものね。ありがと」
「ふ、不手際だと?」
「市街地に出現したワームビーストの処理にかかった
聞く限りにおいてはあらん限りの
「えらく素直に応じたと思ったら――」
「だから、素直に応じたのよ」
たいした
「貴様らは彼が――アシタカがどれほど
やられっぱなしのシズハラが
「だから、四人も呼ばせたのね。重体の彼のために
よほど不快な思い出でもあるのか、憎々しげに顔を
「度を
カンパ金だの見舞金だのがごった返す理由は、生徒会だけでなく武術科が自主的に回収するせいであることにラスターは
ここにいる四人はもちろん、他の生徒からも、
「ふざ……けんな……」
最後に一言
この
一人の間抜けを
「はぁ……じゃあお
今度こそ本気で帰るつもりでラスターは席を立つが、カンラギ副会長に呼び止められる。
「待って、議事録に書く内容がないの」
「はっ?」
「あのね、議事録に書く内容がないの」
「……内容が無いよう?」
「そう言うこと」
つまらないギャグは笑顔で流された。
まだ話は終わらないらしい。
「あなたも知っているのよね? マイクロワームビーストの
「まぁ……」
ラスターはチラリと隣を見ると……三人とも
聞いたことがないのだろう――
「……扱い?」
シズハラ会長が
「えぇ、あなた達も少なからず見たんでしょ? マイクロ――ってほど小さくはないけど、それでもあんな虫でも、一匹いるだけで我々人類を
ツインテールをぴょんぴょんさせながらルーナはコクコクと
「だからこそ、扱いは厳重にしなけれならない――武術科は間違ってもコロニー内に広げないように、そして、学術科には余計な不安を
「そんな!?」
ユリウスが驚きを見せるが、カンラギ副会長はすぐに補足する。
「もっとも、知りたければそこそこ簡単に見つけられるわ。あくまで教育現場やメディアを通じて教えないと言うだけで」
「ネットがあるのに、意外と隠せてるのはすごいよなぁ」
「
なんとなくでぼやくラスターに、カンラギがにっこり微笑んでいう。
努力というより――住民はそこまで関心を持っていないと言ったところだが。
「だからね――」
言葉を切るとカンラギはラスターをじっくりと
「議事録にマイクロワームビーストが
「つまり――どうしろと?」
やはり……逃げるのが正解ではなかったのだろうか?
「強引すぎるナンパによる事故の結果にしたいわ」
「ひどい
そもそも不快なナンパの対処にラスターは体を張って暴力
、こちらが加害者にさせられるのは納得がいかない。
――腕を切ったのは、確かに自分であるが。
「それで、今後気をつけましょうね。と言う念押しで解放してくれるんだよな!」
これ以上
「もちろん前科は付けさせないわ。だけど、何もせず解放とはいかないのよ」
「なんでですか!」
クラクラとし始めるラスターに変わって、ルーナが
「これから、大規模作戦があるのは知ってるわよね?」
「大規模作戦?」
「……あなた
「先生も言ってたろ」
「ルーナちゃん……」
カンラギ、ラスター、ミレアの三人に責められたルーナは、顔を真っ赤にして答える――否、
「し、知ってるもん! 大規模な作戦でしょ」
「そうね。正解よ」
カンラギ副会長が優しく微笑むと、お
「武術科はこれから約一週間以内に
「それで、
「例え
「そんな!」
カンラギ副会長のお願いに、ルーナが悲鳴をあげる。
「なんで、何も悪くないのに、どうしてそんなことしなくちゃならないんですか!」
「危険が
「そんなぁ……でも」
「それに、こちらとしてもそれなりに
「補填?」
一体何が
「今回の作戦の
「……それって
そもそもこんなことを目の前で言われたら、間違いなく武術科が半額しかださない未来しか見えない――あいつらケチでクソだし、会長シズハラだし。
「一応、部隊に所属してもらうつもりで考えているわ」
「はぁ!? なんで?」
ラスターは混乱しながら驚く。
部隊に所属するとはつまり、それなりの力量を買われたか、そうでなければ厄介
「ガヤ担当って言い方はどうかと思うけど……端的に言えば部隊に所属する方が安全だからよ。それに報酬も明確になるからね。不正に減らさせたりしないわ」
「……安全なのか?」
カンラギの説明に、ラスターはそこらへんで
「あっ……うん、まぁ人による部分もあるが、事実かもしれんな。あまりいい気持ちはせんが」
「結局どういうことだよ」
安全らしいのは分かっても根拠がわからない。
「一番安全なのは後方ではなくエースパイロットの隣って格言があるわ」
「殺しにきそう」
「誰が殺すか! というか私の隣なんぞ百万年早いわ!」
流石に許されない
「流石に一番隊の最前線では、エース様の隣であっても危険だけどね」
「うるさい!
皮肉げに言うカンラギに、シズハラは不快度と
「一応聞くが……嫌だと言ったらどうなる?」
「まぁ……どうしても嫌なら、何かしらのボランティアになるけど、多分かなりきついよ? 命の危険はないかもだけど……」
冤罪を
本気で駄々をこねて生徒会に
「まぁ、四番隊所属の片腕を切り落として退けたんだ。ワームビーストの
胸に宿る不安が消えないが、ラスター=ブレイズは大規模作戦への参加が決まった。
ちなみに、記念すべき最初の顔合わせが、今日からとしり、ラスターは嫌な予想が頭を
武術科への仮編入扱いが既に決まっており、第一の生徒会長を除く全員で武術科の練習場へと向かっていく――もしかして、
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