一閃断空のバーサーカーナイト

かむや

第1話 プロローグ

 西暦せいれき2400年


 とうとう人類は宇宙への進出を果たした。

 惑星の庭スペースガーデン計画プランと呼ばれたプロジェクト――アメリカと中国が同時に打ち上げた宇宙での新たな大地は、ごくわずかな限られた人のみであったが宇宙空間での生活を可能にした。


 それから、五年足らずで3つのコロニーが地球から飛び立つ。


 一基は再びアメリカから、他の二基は日本とイギリスからであった。

 最初の二基は、人が住める所ではあっても、人が住みたい所にはならなかった。


 そんな状況じょうきょうにもかかわらず、早々そうそうに三基も打ち上げられたのは、技術革新の中でも、もっとも宇宙活動を飛躍ひやくさせた存在『人型駆動くどうロボット』の存在が大きい。

 以前から人類は巨大きょだいな人型ロボットの製作に取り組んでいたが、様々な障害――その中でも重力という足枷あしかせは非常に厄介やっかいなものであった。


 しかし、宇宙空間であれば話は別、強靭きょうじんかつ大きな体は非常に重宝された。


 当初、この新天地には2つの目的があった。


 無重力下での新たな研究拠点きょてんとして、そして人口増加によりせまくなった地球の代替だいたい大陸として必要とされていた。


 しかし、人類は気づき始める――すなわち、必要性に。

 娯楽ごらくや研究としての需要じゅようはあり、新たな居場所も求められてはいたのだが、いかんせんエネルギー問題は深刻であった。


 さまざまな施設しせつが大量のエネルギーを必要とするため、人類の新たな居場所は、巨額の資金と資材、そして人材を投入し続けなければならず、維持いじを続けても、予定の十分の一も宇宙に送る事はできなかった。

 撤去てっきょされることはなかったが、地球で生きる大多数の人にとって、どうしても行きたければいけるだけで、結局は金持ちが道楽以外で行く事のない場所であった。

 心理的距離きょりは近くなったが、生活においてはあまり関わりがなかった。



 深刻なエネルギー問題、世論の反発、そしてスペースコロニーの必要性。

 これらの問題は、六基目どころか、打ち上がっている五基の維持すら徐々じょじょに危うくなっていく。


 巨大ロボにしても、あまりに消極的な宇宙開発のせいで、製造会社は激減。


 2500年にロールアウトされたのは、ソルフレイム社の『RRライドロボ』とルナエクリプス社の『EXecuteエグゼキュート』の二種類のみであり、たがいの企業きぎょうはしのぎをけずることもできぬまま、共倒ともだおれを防ぐために、合併がっぺい余儀よぎなくされた。

 そうして、宇宙開発は中途半端ちゅうとはんぱなまま終わるかと思われたのだが――


 突然とつぜんのな悲劇は、人類を飛躍的に進歩をさせてはるかな宙へとたび立つことになる。

 

 ……そして、人類は地球から絶滅ぜつめつした。

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