第5話 出発
準備をしているとミユの車の到着が見えた。
今回は時間通り出れそうだなと。
「おはようございます」
「サトルおはよう」
「今回はご無沙汰ではないですね。二週前の年始に会ったばかり」
「そだね。大丈夫かな天気」
「まあ、行けるとこまで。だけど思ったより人居るし、道はありそう」
「うん。SNSでもレポ出てた」
「そうですか」
なるほど、それで行きたくなったんだな。
そして同じように考えた人達がこれだけいるわけだ。
ザックを背負って、車両通行止めのゲートを抜ける。
冬のテント泊。
念のためロープと水も2リットル持った。
冬は雪を溶かして水を作れるのだが、手間がかかるし長野の実家の庭で試しに作ったらホコリっぽかった。
山の上ならそこまでひどくはないと思うが、トレーニングもかねて持ってくことにした。
18キロくらいかな。
なかなかの重量だが、入念に試着して選んだザックが合っていて意外と軽く感じる。
肩より腰で支える感じだ。
歩き始めてすぐのトンネルを二つくぐりぬけると薄く明るくなってきた。
一時間くらい歩いてると
「サトル。ここじゃない」
「んっ」
ミユの指さす方を見ると<←鷲住山入り口、あるき沢橋>の看板が立っていて、脇道を案内していた。
冬の北岳登山口あるき沢橋は覚えていた。
「こっからか。ずっと林道歩けば着くと思っていた」
用意したネットから印刷した地図を見ると確かに林道を歩いて行けば着きそうだが、かなり遠回りになりそうだ。
「サトル大丈夫?」
ミユがあきれたように言う。
「ありがとうございます。一人だと通り過ぎていたと思う。ミユさんがいるからあんまり調べてなかった」
「はいはい」
これが二人で行く強みの一つだ。
先頭の人が道を間違えると後ろから見ている人が気づくと言うことはよくある。
まあ、今回は僕が調べなさすぎていたのが悪いんだけど。
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