第2話 子孫
兵団に持ち込まれた案件は『不可視障壁』に覆われた『議事ドーム』で俺とユイ、そして参謀本部の連中が軍議を凝らし、可決すれば即開戦となる。
今回は情報参謀……衛鬼兵団の参謀達は大きさも形状もてんでんばらばらで、人間サイズの者から怪獣のような巨大な者までいるが、情報参謀は、大きさは俺たちくらいでヒョロ長く、見た目通りのコミカルな声をしている。 ……俺は、初めて情報参謀と出会った時からこの声がツボで、可笑しくて可笑しくて(苦) ……これから情報参謀の質疑が始まる。 真面目な軍議中に吹き出さないようにしないとなっ!
「……で、その『うってつけの人類』と言うのは、
「総司令閣下の『住宅管理者』の『子孫』です」との返事が帰ってきた。
『住宅管理者』? あ、大家さんか!
大家さんの『子孫』……そう言えば、以前……
『……「可愛らしい妹さんだな。 オレの孫も可愛いぞ! 今度遊んでやってくれ」 ……と言い残し、上機嫌で去って行った』(前作『鬼の兵団 第2章『願望』 第2話『ユイ』をご参照下さい』)
……って事があったっけ……。 大家さんのお孫さんの事かな?
「『矢主 建造』氏の子息の娘に当たる『矢主 佐奈』氏です」
やっぱり!
……俺は
「その子も、何か『懸案』があるんですか?」
「はい」
情報参謀が言うには、大家さんの孫……佐奈ちゃんは、中学三年生。
佐奈ちゃんは地味で目立たない女の子で、すっかり自信を無くしており、受験勉強にも身が入らず、毎日、ネット小説を読んで、自分の世界に入ってしまっている……との事。
そんな時に、佐奈ちゃんは、何と! 俺の知り合いで『野華』さんと同じ部署に勤める落合さんが趣味で投稿しているWeb小説『流浪の軍隊』が主役の『恋を叶える為の戦争』のストーリーを読み、自分の為に闘ってくれる『無敵の軍隊』に夢を求めているらしいのだ!
……そうかあ! まさか野華さんの同僚と大家さんの孫が繋がるとは!
世界は広いようで狭いな〜。
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