7話 緊迫
俺たちは宇宙船の窓をこじ開け、潜入した。中には警察たちがウヨウヨいる。
「フィルさん、隠れてください」
俺が言われて物陰に隠れると、警察が通りすぎて言った。こんな時、ウディは頼りになる。
「どうする?」
「このままここに隠れていましょう」
俺達は動かず、じっとしていることにした。
――「確保!」
俺は目覚めた。いつの間にか寝てしまったようだ。頭が痛い。胃のあたりがイガイガするような感じだ。
俺の手には手錠が掛けられ、周りを警察に囲まれていた。捕まってしまった。
「これより裁判を開始する」
裁判長によって裁判の開始が宣言された。密輸、という重罪を犯してしまったため、事情聴取などはほとんど行われなかった。
鎖星開始以来、記録上初めての密輸事件のため、ミゴニア星第16代王、カルシ2世も同席している。
王同席の裁判では王の意見が尊重され、裁判は特異となる。
「なぜ貴様らは密輸をした?」
裁判長が言う。ここは正直に話すべきなのだろう。
「妹を助けるためです」
俺は経緯を説明した。
「だが、どんな理由であれ密輸は密輸だ。王、どう思われますか?」
「妹を助けるため、か。鎖星により苦しむ人がいることはわかっていた。だが命にまで及ぶこととなるか……」
王は考え込んでいる。
「フィル・ウィリアム・テイラー、そなたを無罪としその妹、アンディ・ウィリアム・テイラーを鎖星下特異の外星医からの治療を受ける権利をさずけよう」
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