第66話

 本物を使って料理をすれば、次からは食べたくなったら料理しなくても同じものを出せて便利かもしれません。

 ですが、私の魔力では出すことはできないでしょうから、本物である必要はないんですよね。

「ありがとう。本物は必要ないから、何も持ってこなくて大丈夫。ミック君が元気に顔を見せてくれればそれで充分だからね」

 ミック君が嬉しそうに笑った。

「おいら、しっかり寝て、明日体調ばっちりでくるよ!じゃぁな、リツ兄ちゃん!」

「暗いから気を付けて帰るのよ?色々ありがとう。また明日ね」

 ミック君の後ろ姿に声をかけると、ミック君が振り返って手を振りました。

「宿泊は一人ね。小さい部屋が1泊銀貨3枚、大きい部屋が銀貨5枚。夕食と朝食をつけると銅貨5枚プラスになるよ」

 銀貨1枚1000円とすると素泊まり一泊3000円か5000円、食事が500円プラス。安いのか、安くないのか。

「あの、風呂……えーっと水浴び……うーんと……なんていうんだろう?」

「ああ、部屋に桶があるからお湯を入れて使ってくれればいいよ。使った後はちゃんと戻すのだけ忘れないようにね」

 へ?

 えええ?まさか、食べ物として魔石を使うのではなく……。

 確かに水じゃなくてお湯を飲めばお湯も出せるでしょうから……いや、でも。

 私の出す水は桶じゃたぶん受け止めきれず、お湯だとどれくらい出せるんだろう?お湯は飲んだことがあるけれど……水よりは高級品?えーっと……どれくらいの量が出るのか。

 桶っていうことは、布で体を拭く系ってことですよね。風呂ではありませんよね……。桶の量でお湯が米粒魔石で出せるでしょうか……。

「あの、魔石……」

「ん?ああ、桶に魔石も設置してあるからね。戻してもらうやつだから減ることもないから必要ないよ」

 すごい。魔石でお湯出して戻してとすれば、風呂入り放題……?!湯舟にする入れ物さえ用意できれば……この世界でお風呂には困らないってことですよね?

 米粒魔石でどれだけ出せるんでしょう。

 水道代換算で水が大量に出た……いや、なんか計算間違ってたけど、どうも50リットルくらいは出るみたいで、それに、お湯だとガス代金が加算されるみたいな計算で出ると……。

 そういえば湯船にお湯をためるのに水道代とガス代を足すとおよそ100円だってどこかで見ました。住んでる場所によっても違うし、浴槽の大きさによっても違うし、それにプラスしてシャワーしたり追い炊きしたりで料金は変わっていくそうですが……。

 およそ100円だとすると、米粒魔石10個を使えばお風呂のお湯が手に入りますね。戻れで戻る……食べなきゃ消費したことにならないなんて素敵なシステム……。あれ……と、言うことは、手を洗ったり食器を洗ったりする用の桶を一つ買い、魔石で水を出したり戻したりすれば水道とか水場がなくても問題なく料理もできるということでしょうか……?

 桶、買いましょう。それから、桶1つ分の水がちょうど米粒魔石で出せる方法はないでしょうか……この世界の本物の水を飲めばいいですかね?米粒魔石いくつかで出せるならそれで問題ないのですが……。ミック君はパン用の魔石でコップ1つ分の井戸水でした。他の水も飲んでいるらしいから、手洗いに適した綺麗な水でもう少し多く出る水がないか明日聞いてみましょう。



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いわゆる、水と汚れは分離するんですね……水に入っていた汚れだけが分離されて残る。濾過みたいな?

(*´ω`*)

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