パンタ王国 〜パンタの日常〜

FIIFII

第1話

 パンタ星に住むパンタたちの国、パンタ王国。

 パンタの夢全てを叶えられると有名なこの国には、次々とパンタたちが集まっていた。

 パンタ王国に元々住んでいた人たちは、パンタ王国新参者を疎ましく思っていた。



「えー、本日のニュースですがパンタ星の近くの星がぶつかる予測がついたことにより…………」


 その元々住んでいたパンタの一家の一人息子、パン太はテレビをボーッと見ながらパンタパンを食べていた。

 パッケージにはパンタシール同梱! と表記されていて、シールは机の上に置いてある。


「おはようパン太」


 そう声を掛けたのは、パン太のお父さんのパン他。


「お父さん、そんな格好では会社に送れますよ」


 遠回しに着替えろと言っているのは、パン太のお母さんのパン田。


「わかったよ母さん」

「パン太も早くパジャマから着替えなさい」

「はーい」


 パンタパンを食べ終えたパン太は、タンスからパンタがプリントされたパンタ服を出すといそいそと着替え出した。


「おかーさん」

「はーいはい。どうしたのパン太」

「パンタパンツは?」

「あら、洗い忘れていたかしら」

「ええー」


 パン太は駄々をこねるが、洗っていないものはどうしようもない。


「仕方ないわね」


 そう言ってお母さんがエプロンの裏ポケットから取り出したのは、最新のパンツ『パンタマンパンツ Ver2』!

 最新技術を駆使されて開発された、超高級パンツだ!

 肌触りが良く、履いているのに履いていないような履き心地。まるで空気のように軽いのにも関わらず重力操作機能付きでなんとお値段5万パンタ!

 前々から欲しいとねだっていたそれを見たパン太の顔は、満面の笑みに変わった。


 足を肩幅に開き『ッシャオラアッ!』と叫びながらガッツポーズするくらいに、パン太のテンションは跳ね上がっていた。

 このテンションを例えるならば、道に落ちていた100万円を拾った時のそれだろう。


 何を隠そう、パン太はパンツが大好きなのだ。

 語らせれば幼子に似つかない豊富な語彙と丁寧な口調で丸一日は潰せるほどである。

 そんなパン太の異名『パンツマン』は正にパン太の誇りであった。


「凄いフィット感だ。これはVer1の三倍は適応力が増している。更に重力機能により飛行能力を会得することもできるときた。これは新パンツ時代の到来だ! 皆の者祝杯をあげよ! 今日はパンタパンツ革命記念日なるぞ!」




 その日、パンタはパン太の手によって空気の詰まった紙袋をパンッ! と割るかのように滅ぼされた。

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