消える空腹

最初は本当にお腹が空いてたまらなかった。お腹が空腹を訴えて常にグーグーとなっていた。お腹が空きすぎて気持ち悪くなることもあった。それでも私は、食べることを我慢した。あんな痛みはもう味わいたくなかった。


我慢は本当に辛かった。

何しろ私は、それまで、一日に5回も食事をしていた女である。食べることを我慢したことなんてほとんどない。


ここで、読者の方に一つ申し上げておくと、私は断じて太っていない。今までの文章を読まれた方は、私のことをぽっちゃり系orマシュマロボディー(もしくはダイナマイトボディ?)だったと想定していることだろう。だが、私は、むしろ痩せ型だった。食べても食べても太らない体質で、常にシンデレラ体重をキープしていた。これは断じて見栄ではなく事実だ。絶望的に貧乳であったが、ウエストや手足は細く、お尻の小さな女の子♡だった。ダイエットなんて考えたこともなかった。


食べなくなって、空腹がこんなに辛いなんて、とダイエッターの気持ちを理解した。

水などを飲んで空腹を紛らわせた。音楽を聞く、寝ることは効果的だった。寝ていれば何も感じなくていい。私は一日の半分以上を寝て過ごし、たまに起きても水を飲んだり、トイレに行くくらい、という超絶廃人生活になった。


するとある日、何も感じなくなった。

お腹の感覚が無くなった。




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食べることは生きること @MEGANEKO1205

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