トロピカル因習アイランド八尺様
@botamaru-yuki
第1話 いざトロピカル因習アイランド
夏休み。
友だちとゲームしたりゲーセン行ったりするという僕の理想の夏休みは、親の里帰りで予定が大きく狂うことになった。
「タカシ、明日からママの田舎に行くわよ」
「え、母さんだけで帰ったら…僕は友だちと遊びたい」
「パパも一緒に行くんだから、小学生1人でおいていけるわけないでしょ」
それはそうだ。
僕に作れるご飯はカップラーメンくらいだ。
レンジで爆発を起こしたのも1度や2度ではない。
「留守番くらいできるよ、多分。」
頭では理解してるものの、素直に頷きたくない年頃なのだ。
「ママの田舎、これから大きいお祭りがあるからタカシも楽しめると思ったけど。
そっかぁ行かないのか」
「祭り?」
残念そうな大根演技はさておき、お祭りは気になる。
「ちょっとした観光地だから、結構盛大なお祭りだよ。
出店もたくさん出るし、友だちに自慢できる思い出ができるんじゃないかなぁ。」
楽しいこと!おいしいご飯!
クラスの人が誰も経験してないすごいこと!
僕は友だちに素晴らしい思い出を自慢げに話す未来を想像してドキドキした。
「ふーん。じゃあ、行こうかな。」
「じゃあ行こうか、
トロピカル因習アイランドへ」
─────────────
そうして両親とトロピカル因習アイランドへ来て早数日。
青い空!
白い砂浜!
楽しい仲間たちと一緒にトロピカル因習アイランドでの生活を楽しんでまーす!!
メシ🍚🍴もうまくて景色🌇も見ないと人生損してる!😨
テンションアゲ↑アゲ↑✨
人生楽しまなきゃ損でしょ🤗✨
サイコー😍💓💓な仲間との出会い😚に感謝🙏👍️✨
クラスのみんな見てるー???みんなもおいでよ🙆🙆🙆💕
今日も仲間🤝が迎えにきてくれて、穴場⛱️で遊ぶ予定!
まだかなー!
と母の実家の縁側に転がりながら空を見る。
人生サイコー☺️👍️👍️✨
ふと視界の端、生垣の上に白いなにかがちらつき、仲間が来たと思って身体を起こした。
「よお!今日も遊ぼうぜ!」
と声をかけると白いなにかが麦わら帽子👒であることに気づいた。
こんなゴキゲンな帽子を被ってる仲間がいただろうか?そして2mを超える生垣から頭が出せるような高身長バイブスアゲアゲ野郎がいただろうか?
相手の返答を待つ時間が永遠にも感じられた。
なにか、なにかしゃべらないと
しかし喉は貼り付いたように声を出すことができない。体も動かせない。
これは、これはまずいのではないか?
そう思った瞬間、白い帽子が滑るように門の方へ動き出した。
そして奇妙な音が聞こえ出した。
ポ
ポ
ポ
ポ
ポ
この奇妙なBEATが聞こえてきた時、俺は直感した。
『これは挑戦である』
と。
動かなかったはずの体をはねあげ、俺はDJセットを召喚した。
このバトル、より空気-フロア-を沸かせた方が勝ちだ。
ならば受けてたつしかない。
覚えたてのDJ仕草を見栄と虚飾で奮い立てて歴戦の陽キャのように振る舞う。今の俺はサイコー✨にアツい☀️☀️DJだ!
今、2つのリズムがぶつかりあい、トロピカル因習ランドのバイブスをブチ上げる──!
ポ ポ ポ ポ ポポポポポポポポ ポポポポポポポポpppppppp
_人人人人人人人人人人人人人人_
> トロピカル因習アイランド <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
その夜、俺は好敵手-ライバル-に出会ったことを両親や祖父母に話した。
みんなうれしそうに聞いてくれたので俺もうれしくなった。
「どんな子なんじゃ?」
「わかんないけど、ずっとポポポって喋ってた」
そう答えると突然茶の間の空気が凍った。
(つづけ)
トロピカル因習アイランド八尺様 @botamaru-yuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。トロピカル因習アイランド八尺様の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます