第264話 攻略開始!



Side ミア


コアルームでは、各ダンジョンパークの様子や異世界側の町や周辺の様子を空中に浮いたモニターに映し出し、監視している。

通常は、監視をしておかしなことがあれば情報収集。

そして、マスターを加えてみんなで話し合って解決する。


ですが、今、このコアルームには私とエレノア、ソフィアの三人が一つの画面に注目していた。

そのモニターに映し出されているのは、地球にできた死霊系ダンジョンだ。


「ではこれより、ゴーレム騎士たちの部隊によるダンジョン攻略をはじめます」

「ゴーレムのカメラ、問題ありません!」

「ゴーレムの聖属性武器や装備も問題ないわ!」


エレノアとソフィアを見ると、お互いに頷き合う。


「では、突入!」

「「了解!」」


次々と、ゴーレム騎士たちがダンジョンへ突入していく。

そして、襲いかかってくるスケルトン、ゴースト、ゾンビを次々と葬っていく。

聖属性武器を装備したゴーレム騎士たちは、問題なく死霊系の魔物たちを倒していっている。


「第一階層、攻略完了!

宝箱、ドロップアイテム、ともに無し!」

「第二階層への階段を発見! 突入開始します!」

「了解! 速やかに、ゴーレム部隊を突入させろ!」

「第二階層へ突入開始します!」


画面の中では、ゴーレム騎士たちが階段を下りて第二階層へ突入していた。

そして、現れ襲いかかってくる死霊系魔物。

スケルトン、ゴースト、ゾンビ、スケルトンナイトなどが現れた。


「ゴーレム騎士たちが、第二階層へ突入しました。

これより、第二ゴーレム騎士隊を突入させます!」

「了解! 装備は万全ね?」

「第二ゴーレム騎士隊の装備問題なし!」

「では突入!」

「了解!」


ゴーレム騎士たちは、どう戦っても消耗品となってしまう。

武器、防具を別に造って装備させても、ゴーレムたちは形を保てなくなり崩れていく。

そのため、ゴーレム騎士部隊をいくつも用意して対応した。


その分、武器や防具の問題があるが、付与武器や付与防具とすることで問題を解決させた。

聖剣よりも、聖属性を付与した剣を用意したのだ。



こうして、次々と階層を攻略していく。

しかし、第三十階層を過ぎたあたりから、死霊系魔物の数が二倍以上になる。


「ミア、この階層から下が異常に数が多いわ」

「ということは、最下層が近いわね。

ダンジョンコアのあるところまで油断しないで、次々にゴーレムたちを送り込むわよ!」

「「了解!」」


このダンジョンは、地球にできた死霊系ダンジョン。

近くの恨みある魂を取り込み、死霊系魔物としてダンジョン内に現れているみたい。

時々、ユニーク個体の死霊系魔物が現れていた。


おそらく向こうの世界で言うところの、名前持ちというやつだろう。

民間人の死霊系魔物は弱かったが、軍人の死霊系魔物はかなりの強さだった。

こちらのゴーレム騎士を何体か倒されてしまったほどだ。


「ミア、ユニーク個体のリビングデッドが現れたわ!

武術を使うみたいで、素手でゴーレム騎士たちと戦っているわ!」

「そういうときは、網を使って動けなくして倒すのよ!」

「了解! 網、射出!」

「上手くかかりました! 藻掻いているうちに、地面に倒れたわ!」

「近くのゴーレム騎士たちに倒させて!」

「了解!」


網が絡みつき、藻掻いて藻掻いて地面に倒れたところを、ゴーレム騎士たちが聖属性の剣を突き立てた。

そして、聖属性の剣を突き立てられた魔物は、動かなくなり灰になって崩れた。


こうして、難なく倒した後はダンジョン攻略を再開し、最下層を目指していく。



「ミア、突入させたゴーレム騎士が三百体を越えたわ。どうする?」

「……各階層の死霊系魔物は、どうなってる?」

「リポップ無し。復活していないわね」

「なら、あと百体ほど突入させて。

最下層にいると思われる、ダンジョンマスター対策のためよ」

「了解! ゴーレム騎士部隊、突入再開!」


最下層にいると思われる、このダンジョンのボス対策のためにゴーレム騎士を追加した。

虫ゴーレムで調べた最下層の、六十六階層。

そこまでに、ユニーク個体がゴーレム騎士たちを倒してしまい、今残っているのは二百体もない。



「最下層のウー・リーは、どんな様子?」

「動かないわね。

慌てた様子もないし、かなり落ち着いているみたい……」

「ん~、どこか貫禄みたいなものがあるガイコツなのよね……」

「今、五十階層を突破したわ!

死霊系魔物が大型化してきた! 巨人のガイコツが出てきたわね……」


しかし、ゴーレム騎士たちは焦ることなく聖属性の剣を振るい、巨人ガイコツを倒し灰に変えていく。

大型化しようとも、全く問題なし!


ダンジョン突入開始から、いくつかモニターを増やしダンジョン内の様子を監視しているが、おかしなところはない。

各階層の死霊系魔物も復活しないため、追加で送り込んだゴーレム騎士たちがスムーズに下の階層へ送れている。


「……それにしても、魔物の復活がないわね」

「通常のダンジョンでは、ありえないけどどういうことかしら?」

「エレノア、おそらくだけどゴーレム騎士たちの侵攻が過剰だからだと思うわ」

「過剰?」

「ええ、ダンジョンの魔物を次から次に呼び出すには、このダンジョンは若すぎるのよ。

死霊系魔物を呼び出すための、ダンジョンポイントが足りないから攻略された階層の魔物を復活させる暇がない。

いえ、復活させるダンジョンポイントがあるなら、攻略されそうな今の階層を守ることに使おうってことね」

「それじゃあ、倒せば倒すほど……」

「ええ、呼び出す死霊系魔物がいなくなり、最後はボス部屋にいるウー・リーの周りに呼び出すのがせいぜいってところね」

「なら、このまま進攻を進めるわね!」

「ええ、それでボスを倒して、このダンジョンは終了よ!」


マスターが、修学旅行から帰ってくる前に解決できるかもしれないわね。

地球にダンジョンができたなんて、知ったらどんな顔をするか……。


自分のせいだって、責めるかしら?

それとも、地球のあちこちにある心霊スポットを心配するかしら?


それなら、今の地球における魔素の分布内にある心霊スポットを調べることになるかもしれないわね……。







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