第7話 修了
「君たち冒険者や探索者が、野山やラビリンスの
教官の代表者に有難いお言葉をいただき講習は終了した。どうやら半月ほど掛かって全てのコースで及第点を取れたらしい。
では、講習を受けたことによって、どんな知識や情報を得たのか、何が違うのか、ここで整理しておきたい。状況や装備を把握しないと作戦行動はできないだろう。
不思議に思っていた事柄から。まあ、全て魔法でなんとかなっているのだと納得するしかないのだが。
俺のような異世界転移者にとっては、まずは、言葉。何故この世界で話せるようになったのかいうと、共通語を使えるようにする
そして、出たり消えたりしてIDカードとなる金属片。これも魔法によって必要なときにだけ現れるわけだ。改めて確認すると表には「氏名」「性別」「年齢」「本籍地」「居留地」「身分」と裏側には「
順に読んで行くと「氏名」リョウ・クツギ、「性別」男、「年齢」24歳、「本籍地」ミッドガーランド 転移者、「居留地」セント・アイブス、「身分」名誉臣民 自由民、裏側には「
で、同様にもう一枚持たされることとなった。こちらは
そして個人の評価では俺は初級者相当のFランク。この階級制度では、登録したばかりの新人では初心者相当のGランク。初歩的な仕事をこなせるか、講習を受けることなどで、Fランクへと上がる。
それならばFランクスタートで良いように思うが。ギルドへの登録手数料などを後払いにしてもらえる為、とりあえず
住む家を無くしたりした者でも、この
修了証書を持ってレストラン取調室へ報告に。有難いことに、まずは良くやったとお褒めの言葉をいただくが、ずっと気になっていたことをこちらから切り出して質問してみる。ギルドへの登録や講習の費用の支払いについてだ。
「ああ、それね。恩に着せちゃうのもどうかと思うから、分割で払ってもらおうかな。この店の従業員なんだから、給料から毎月天引きにしようか。店の2階奥の寮の部屋は使っていいし、まかないは出すから、生活には困らないよね。」
「旦那の言う通りでいいんじゃねえか?若いの。」
タムラも賛成しているようだ。ちょっとホッとした。この世界の金の価値がどれくらいなのか、まだよく分からない。
「まあ、レイゾーさんもタムラさんも、そうおっしゃるのでしたら、ご厚意に甘えさせていただきます。ありがとうございます。」
レイゾーが話を続ける。なんだかニヤけているが。
「これでクッキーは、もし一人になったとしても
その都度、必要な食材や、目的地は伝えるが、今は胡麻の調達先を探すことだね。近くのラビリンスで戦利品として入手できるかもしれないし、遠い場所で商人との取引によるのかもしれない。
そのためにも
「ただ、なんですか?」
「それと並行して、クララの手伝いもやってもらおう。希少金属の鉱物探し。忘れてない?」
「忘れてません!」
美しい女性のことですので、忘れませんとも。鉱石探しますよ。掘りますよ。
「ん、OK。探索、冒険での戦利品だけど、その鉱物と食材以外は、そっちで売ったり使ったり処分して構わないんだよ。それで収入が得られる。それから、パーティとしては、うちのAGI METALの所属にしておくよ。同じパーティメンバーになっていれば、魔法で居場所を探れるんだ。もしもの場合にそなえてね。クララとは一時的なチーム、レイドとして活動してね。」
これで、今後どうすれば良いのか目的がハッキリした。やるべき事が分からないってのは、精神的に辛いものがある。当てもなく筋トレして走りこむしかない生活は嫌だよ。
「レイゾーさん。タムラさん。ひとまずは単独で南側のダンジョンに入ってみます。戦力にならずにレイドの足を引っ張るのは嫌ですから。講習の成果を確かめて、魔法のテストをしてきますよ。」
いよいよ、この世界での活動開始だ。勢い良く店を飛び出しダンジョンへと向かった。
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