駄文森林

岩幸

第1話 【詩】コンプレックス

いつも気取った窓の中から

卑しげに笑う

地下室へ幽閉したスプリッツァーは

誰にふるまうの?

凍った天井には無数の夜光虫が蠢き

吊るし上げられた鹿の首は

恨めしそうにそれを仰ぎみる

重たそうな銀の鎖は

誰を縛りつけるためのもの?

床にひれ伏す幾千もの影は

何も語らない

飛び立った虫けらの羽音に

耳を傾けることもなく

あなたはただ卑しげに笑う

身にまとう金色の衣はやがて朽ち果て

その愚かな肉体を晒しても

あなたはただ卑しげに笑う

ついには漆黒の鳥でさえも

あなたの骸には見向きさえせず

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る