「極楽長屋」岡田屋鉄蔵(崗田屋 愉一)

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「 酒に逃げても何もならんぞ。

 現状を受け入れて新しい息の仕方覚えろ」

 第一話 盗人指南 より(六助の台詞)


      ◇◇◇


「五尺八寸の女形なんて笑い種だって散々苛められてさあ……かと云って男衆の真似事なんてできやしないし。 そんなら人を笑わす舞台に出ようと思ってね。 見世物でいいのサ。 アタシを見て笑って楽しい心持ちになる。 それがアタシは嬉しいのサ」

 第二話 怪童子と熊 より(金太郎の台詞)


 出典:『 極楽長屋』 岡田屋鉄蔵 より

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 今回は岡田屋鉄蔵さんの「極楽長屋」を、ご紹介します。


 まず、岡田屋鉄蔵さんですが、2016年から崗田屋 愉一(おかだや ゆいち)にペンネームを改め、旧ペンネーム(従来の連載作で使用)と併用されています。ちなみに女性漫画家さんです。

「極楽長屋」も新装版からは崗田屋 愉一になっていますが、ここは、わたしが読んだ初版でのお名前で書かせていただこうと思います。


この本は……


****** 聞いて極楽、見て地獄。だが住めば都。

"極楽長屋"と呼ばれる、いわく付きの長屋は、その名とはまるで正反対の江戸の吹き溜まり。 そこに集まる者は 脛に疵持つ者ばかりで―― 謎多きボロ長屋にて個性的な住人たちが繰り広げる群像人情時代劇。


     ◇ 


 岡田屋鉄蔵 さんは、BL漫画も多く描かれていますが、2010年、『奇譚時代劇 千』発表後、時代劇ジャンルにも活動の場を広げられています。

(よしながふみ さんなども、BL漫画だけでなく色々なジャンルで活動されていますよね。

『大奥』『きのう何食べた?』など、ご存知の方も多いかと。こちらも後日、ご紹介したい愛読書です📖)


 岡田屋さんもまた、人間の心の機微を繊細に描く作家さんだと思います。


 人が人を思う心。

 魂の姿の有り様と、その美しさ。


 この極楽長屋には魅力的な登場人物が沢山でてくるのですが、わたしは、この第二話 怪童子と熊 に出てくる金太郎太夫が好きです。

 仄かに思いを寄せる定町廻り同心 熊谷晋之介、彼に命の危機が迫った時の、普段は控えめで穏やかな金太郎太夫の見せる侠気。

 美しい男、というわけではない。けれど、この二人の関係性は温かく、そっと寄り添っていく姿は愛おしい。


     ◇


『極楽長屋』嬉しいことに、崗田屋 愉一(おかだや ゆいち)名義で『堤鯛之進包丁録(極楽長屋編)』『堤鯛之進包丁録(江戸料理編)』があります。

 勿論、お馴染みの住人たちも顔を見せていますので、こちらも是非!

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