「木霊みょうと」 文・吉本直志郎 / 画・中島潔

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「 たっぺいさんがいなくなってからは、 ふたりでわかちおうた恋しさも、いとおしさも、 わたえひとりで負うて、きょうまで生きてきました。 あいとうて、あいとうて、なりませんでした」


出典:『木霊みょうと』文・吉本直志郎 / 画・中島潔 より

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今回は、ポプラ社の愛の絵本シリーズから「木霊みょうと」文・吉本直志郎 / 画・中島潔 を、ご紹介したいと思います。


 みょうと、というのは夫婦のこと。 この本は絵本といっても、大人にこそ読んで貰いたい大人のための絵本です。


 絵を「風の画家」として有名な中島潔さんが担当しています。 中島さんの描く女性は、どこか寂しげで、儚い影を纏っているようで美しい。


このお話は……


****** 山深くにある村で仲睦まじく幸せに暮らしていた夫婦、辰平と文。 ある日、山仕事に行った辰平に悲劇が……。 二人は魔性の者の不条理な力によって隔てられた世界で生きなければならなくなります。 それでも夫を恋い慕う文は、辰平といるために、ある決断をするのです。


     ◇◇◇


 痛々しいほどに、でも強い愛を持つ女性を中島潔さんが艶めかしくも美しく描き、そして吉本直志郎さんの繊細な文章が、この物語の切なさと「愛」というものの深い意味を伝えてくれます。


そう、これは哀しくも美しい究極の愛の物語……。

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