ティンカーベルの子守唄

物部がたり

ティンカーベルの子守唄

 生後七日の赤ちゃんが森の中で泣いている。

 深い森の奥深く、誰かを呼んで泣いていた。

 赤ちゃんの泣き声は誰にも届いていなかった。

 いや、誰にもというわけではなく、鈴のような歌声で、赤ちゃんの声に返事をする者がいた。

 周辺の村々には、ティンカーベルと呼ばれる妖精ピクシーがいて、泣いている子供の前に現れるという伝承があった。

 は、赤ちゃんの側にやってくると、赤ちゃんが泣き止むまで子守唄を唄った。

 泣く子も泣き止む天使の歌声だった。

 次第に赤ちゃんは泣かなくなった――。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ティンカーベルの子守唄 物部がたり @113970

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ