リトライ農家-30歳の詰み男が高校生に蘇る-

メグルハ

序章 30歳で詰み常態から無限の18歳へ

過去の邂逅①けばけば男子鈴川

私は鈴川久統(すずかわひさむね)。30歳で貧乏農家をしている男の子。妻はいない。独身男性。友達もほとんどいない。家族にもあまり恵まれていない。家族で農業をしているが口論を続けていた。地味。


イケメンと言われることもあるが、変な顔と言われることもある。にらめっこするとだいたい勝ってしまうのがコンプレックスである。


あの時、「あーしておけばよかった」というのが口癖である。肌は荒れていたが、最近、原因が乾燥肌であることに気づいた。

なので皮膚科でニキビ菌を抑える薬を飲んだところで効かない訳だわ。と気づくのがあまりにも遅すぎて顔面にはクレーター肌ができている。


けばけば男子の私は恋愛や仕事だけでなく、健康にも恵まれていなかった。引き寄せ体質のせいだ。吸引力が変わらない唯一つだけの人間だ。


俺は初期ステータスチェッカーを診断したが、幸運のアビリティと孤独のアビリティがついているらしいが全く自覚がない。


孤独とモテ。何もないが幸運。


無難な人生こそが幸せなのだろうか?

有難な人生こそが有り難いのか?


大難を小難に、

小難を無難にしていけば、

穏やかな日常は過ごせるかもしれない。


山があれば谷もある。

山がなければ谷もない。


それはおっぱいと同じである。


まさに人生とはおっぱいなのかもしれない。


ちなみに私はBカップぐらいの胸がある。男なのに。


そんな中、平凡な人生とは程遠い、苦労が耐えない人生を過ごしていたが、私は3月1日に30歳の誕生日を迎えた。


「はぁ、過去に戻りたい。」


誕生日にもそんなことばっかり言っていた。


過去に戻りたい。

過去に戻りたい。

過去に戻りたい。

チンクルチンクルチンクルルル。



もしも過去に戻れたら。

あの人とは出会わなかったのに。


もしも過去に戻れたら、

あの人にあんなことはしなかったのに。


もしも過去に戻れたら、

あんなところには行かなかったのに。


もしも過去に戻れたら、

あそこでお金を使ったのに。


もしも過去に戻れたら、

あんな人とは付きあなかったのに。


気づいた時には、もう遅し。

人生が詰んでいた。

詰ゲー。


人生100年時代だとしたら、

あと、70年はこんな人生なのか?


「初めよければ終わりよし。

終わりよければ全てよし。」


昔の人が言った言葉が正しいなら、

「初めよければ全て良し。」

ということになる。


この条件が必要十分条件だとしたら、


”今が悪いということは初めが悪い”


ということになる。


「……人生で初めの方で失敗したら、あとで取り返しがつかないのか?……」


はぁ。ため息が出るような人生である。


ここで一句、

「はぁはぁはぁ

はぁはぁはぁはぁはぁ

はぁはぁはぁ」


人生とは苦労の連続であるという

我ながら良い句だ。

無季語だが、いいリズムだ。

やっぱり何事もテンポだな。

天保の改革もテンポが悪かったんだ。


そう思いながら、自分で作った誕生日ケーキを自分だけで食べていた。誰も私が作ったケーキを食べようとしない。私が作ったケーキは自分で言うのもあれだけど、不味くはない。私の味覚は別に悪いわけでもないらしい。なぜだろう。


そう思いながら、3月1日の午後9時を過ぎていた。

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