33話

次の日、白鳥の病室にて。

「まあ、これで一件落着ね」

 これで、最終的に良かったのだろう。

「あっ、烏丸君の引越しをその内するから、元の家の整理にでも行ったらどうかしら?」

「……そうだね。じゃあ、一旦、家に戻るよ」

 烏丸はそう言って、一人で出て行った。

「私、駅前のケーキ屋さんのプリンが食べたくなっちゃったわ。薫、ちょっと買って来てくれない?」

「ええよ~。セバスさん、お金払うてな」

 駅前のケーキ屋は高級なのだ。

「はい、分かっておりますよ。では、参りましょうか」

 薫とセバスチャンも病室を出る。

 つまり、病室はおれと白鳥の二人だけとなった。

「さて、クライマックスね」

「へ? 何が?」

 いきなり何を言い出すんだ。

「ねえ、高村君。今、一人になった烏丸君は何を思っているのでしょうね?」

「今、自分の家を整理しに行ってて……」

「烏丸君、私たちに秘密を知られ、今までの環境を壊され、どんな心境なのでしょうね。もしかしたら、彼の心はズタズタに壊れているかもしれないわね。……昨日の裁判で、烏丸君の環境面はどうにかなったわ。でも、烏丸君の内面、心はどうでしょうね。今も、仮面を被り続けたまま、嘘を吐き続けたままかもしれないわね」

 おれは、白鳥の言葉を聞き終えると同時に、走り出していた。


「さて、勝負といきましょうか、烏丸君」

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