14話

次の日、学校でおれは烏丸の顔をまともに見られなかった。

 白鳥には、何事もなかったかのように接しろと言われていたが、とてもじゃないがそんなことは出来なかった。

 白鳥曰く、おれは顔に出るらしいので、なるべく烏丸の方を見ないように気を付けていた。

 白鳥は平然としていた。

 平然と過ごせる方がおかしい。


 放課後、白鳥の家。

「なあ、本当に潜入なんてするのかよ? 烏丸が望んでるとは限らないだろ」

「烏丸君が望んでる望んでないに関わらず、私は彼を助けるわよ」

「でも……」

 本当に、望んでなかったらどうする?

「あのね。私たちは、もう知ってしまったのよ。知ってしまったら、見捨てることは出来ないわ。……それが、私の正義だから」

「お前は、きっと、アニメみたいにカッコ良くいきたいのだろうけど……」

 「正義」がいつも正しいとは限らないんだよな。

 そもそも、正義の定義が人によって違う。

「高村君、あなたは私にただ従うだけで良いのよ。私が正しいと信じて、付いて来なさい」

「……ああ、分かったよ」

 何で、コイツはこんなに自信があるのだろう。

 無駄に、カッコいいんだよな……。


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