白鳥さんと嘘吐きカラス

夢水 四季

カラスの手記1

         ◆


 僕は、このキレイな世界が嫌いだ。

 青く澄んだ空、野に咲く花々、無邪気に笑う人々。

 そのキレイな世界の中で、僕だけが異質だ。

 僕は真っ黒で、周りとは相容れない存在だ。

 だから、僕はとびきりキレイな仮面を被り、皆に笑顔を振りまいた。

 そうしたら、皆もつられて笑った。

 僕が作った嘘の笑顔なのに。

 僕は皆を騙し、嘘を吐き続けながら生きている。

 もし僕の嘘がバレたら、皆は僕から離れ、僕を嫌悪するだろう。

 ゴミを漁る汚らしいカラスを見るような目で、僕を見るだろう。

 僕は、この世界で生きていてはいけない存在なのだ。


 僕は、このキレイな世界が嫌いだけれど、本当は醜くて汚い自分が、一番嫌いだった。

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