華と追憶

伊島糸雨

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「つまらん冗談はよしてくれ。私は作家だぞ。これは私のお話じゃない、君たちのものだ。違うか?」

 ──昏式繊くらしきせん克良木かつらぎシリーズ〉第一作「月と豊饒」



「詩宇君、見たまえ、ここが一つの終着点、私たちに与えられる結末の場だ。どうかな。このあと、未知の海原へと漕ぎ出してみる、というのは?」

「馬鹿言わないでくださいよ。私たち、やらなきゃいけないことがまだたくさんあるんですから。事務所の掃除とか、先生の借金の返済とか」

 ──昏式繊〈克良木シリーズ〉第十作「海と白百合」

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