異世界生活47日目:災いの騎士はどこに?

ケールとロイスと俺はナリアが回復するまでレイデリアを満喫していた。遊びばかりしていていた訳では無いが…

レイデリアに来てから3日後にナリアの元を訪れ、元気になったナリアを見て安堵した。ナリアは復活するなり災いの騎士カタストロフィナイトを探そうと言い出した

何を言ってるんだろう???

これは俺だけでなくケールとロイスも思ったはずだ

ナリアは災いの騎士カタストロフィナイトと戦って死にかけ、ついこの間まで寝ていた

それなのにこちらから会いに行こうなんて俺からしてみればただの奇行だ

しかし、レイデリアに来て俺たちが遊んでいたのは事実であるためナリアがやると言ったことに反対しずらい

本音を言えば災いの騎士とはもう会いたくないけど、ナリアが探すと言ったなら仕方ない

俺たちは仲間だ。仲間のやりたい事にはとことん付き合ってあげないと



災いの騎士カタストロフィナイトを探すって言ってもどうやって?」



「あいつらの情報はあまり知らないもんな」



「情報ならあるわ」



「どんな情報?」



「右手の甲にタトゥーが入ってるやつを探すのよ」



「右手の甲って…あいつらは左手にタトゥーが入ってるだろ」



「2つ入ってるってことよ」



ただの災いの騎士じゃなくて、この前戦った化け物みたいなやつを探してるのか…

この人何がしたいんだ???

自ら危険な目に遭いに行こうとしてどうするんだよ



「2つ入ってるやつは実力者だって言ってたぞ。そんなやつ探すのか?」



「そうよ」



「いくらなんでも危険だよ!」



「カズヤの言う通り。俺も危険だと思う」



「でも……探さないといけないの」



「病院で何があったんだ?」



ナリアは病院であったことを話してくれた。医師の言うよりも早く起きて、隣にいた女の子に辛辣なことを言われた。だが、その女の子は何者かに突然襲われ幸せを壊された

その女の子は襲ってきた人たちはみんな左手にタトゥーを彫っており、中には右手の甲にタトゥーが彫ってあった者がいた。そいつが首謀者か……

放っておけないとナリアは女の子の願いを叶えてあげることにした。それが右手の甲にタトゥーが入っている人を倒すこと

酷い……何の目的で……

災いの騎士は平気で人殺しも行うテロ組織。何が目的なんだ?



「そういうことがあったのか…」



「…なるほど」



「みんなが危険って言っても私は探す」



「それを先に言ってくれよ」



「ほんとだよ。ただの奇人かと思ったよ」



「そういうことなら俺たちも手伝うよ」



仲間が放っておけないって言ってるなら俺たちも放っておけない。それがヴィネのためになるなら俺たちも協力する

また死闘を繰り広げないといけないのか……

今の強さじゃ心配だ。さらに強くなる必要がある



「みんな…ありがとう…!!」



「とりあえずあいつらの居場所を探さないとな」



「どこに行けばいいんだろう?」



「ギルド」



「え?ギルド?なんで?」



カンちゃん急に喋り出したと思ったら、ギルド?

なんでそんな所を?ギルドにいって災いの騎士の情報なんて手に入るのか?



「ギルドなら災いの騎士の情報はあるかもな」



「どうして?」



「災いの騎士の撃退任務はあることはある。受けるには一定のランクが必要だがな

ギルドに行けば話くらいなら聞けるかもな」



「じゃあギルドに行ってみましょう」



俺たちは災いの騎士の情報を得るためギルドに向かった。ギルドの中は人がまばらだった

ギルドの受付のところへ行こうとすると何かトラブルが起きているのが見えた



「おい!どういうことだよ!!俺たちは任務を達成したって言ってんだろ!!」



「で、ですから任務を達成したという証拠がなければ達成は認められません…!!」



「ふざけんじゃねぇよ!!俺たちはアグロクの森に行ってロードウルフを倒したんだ!!」



「ロ、ロードウルフの素材か何かお持ちなら達成報告は認められますが…」



「あ?そんなもん持ってるわけねぇだろ!!早く報酬よこせよ!!よこさねぇなら痛い目見るか?」



あの男の言ってることがほんとかどうかは知らないが、この国では任務の達成が報告出来るものを用意しなければならない。仕組みを知らないってことは俺たちと同じように違う国から来たのかもしれないが、決まりには従わないといけない

それに脅すようなことも言ってる。認められないからってそれはダメだろ



「それはやりすぎじゃ……」



「さっきからうるせぇな…お前か?叫んでたのは」



「達成報告が認められないんだよ!!どうなってんだよ!!」



「お前受けた任務はなんだ?」



「ロードウルフの討伐だ…」

(出てきた男の人の圧に押されてる。確かにあの人ライオスさん並に厳格そうだ)



「ロードウルフの素材は持ってるのか?」



「持ってねぇよ…」

(ロードウルフの素材はアイテムにもならないただのゴミだ。それゆえ倒しても素材なんか取らない)



俺たちが止めに入ろうとした時、受付の裏からその筋の者じゃないかと思うくらいの人が出てきた

さっきまであんなに威勢が良かったのにあの人が出てきてから勢いが落ちてる

あのライオスさんよりも厳格そうだもんな。それは多少かしこまる



「なら達成報告は認められねぇ」



「なんでだよ!!苦労して討伐したのによ!!」



「お前がどこから来たのか知らねぇが…ここはレイデリアだ。この国で任務の達成報告をする時はそれが証明出来るものをセットで提出すんだよ」



「知らねぇよ…そんなこと」



「知らねぇじゃねぇ。お前そんな甘いことが通るとでも思ってんのか?知らねぇのはお前の責任だ。違う国に来る前にその国がどんな場所なのか調べてこい」



「それか偽の達成報告をする輩に言え。そいつらのせいで証明するものを提出する決まりになったんだからな」



「……」



「言うことがねぇならもう帰れ。後ろがつっかえてる」



男はそう言われると黙ってギルドを出て行った。

可哀想だな。あの人の言ってることに嘘は無さそうだったのに、無知ゆえその努力は認められない

正直者が馬鹿を見る国なんだろう

海外から来た冒険者は任務の達成を証明出来るものを提出しろと言われても持ってるわけない



「はぁー…なんで正直者が馬鹿を見る国になっちまったんだろうな」



「あとは頼むぞ」



「はい!!ありがとうございました」



「何か御用でしょうか?」



災いの騎士カタストロフィナイトについて聞きたいんですけど…」



災いの騎士カタストロフィナイトですか……それならさっき裏に戻って行ったウルトルさんに聞くのがいいかと…」



「ウルトルさんとは話せますか?」



「少々お待ちください」



受付の人はそう言うと受付の裏へ入っていった。ウルトルさん……厳格そうな人だけど何か知ってるかもしれない



災いの騎士カタストロフィナイトの話を聞きたいって言ってんのはお前たちか?」



「はい…」



「名前は?」



「僕がカズヤで彼らがケールとロイス。彼女がナリアです」



「冒険者ランクはいくつだ?」



「全員Cです」



「そうか……なら、帰れ」



「「「え?」」」



「なんでですか!?!?」



ウルトルさんの口から飛び出たのはYESでもNOでもなくGETOUTだった

何の話も聞かせてくれないのか?なぜ?冒険者ランクが原因か?きっとCじゃ低いんだ



「なんでじゃねぇよ。災いの騎士カタストロフィナイトの任務を受けたいなら、ランクがBないと無理だ」



「でも、僕たちレイデリアまでの道中で災いの騎士カタストロフィナイトを倒してるんですよ!!それも2つタトゥーが入ってるやつを倒したんです!!」



「それを証明出来るやつはあるのか?」



「これです!!」

(依頼主からの手紙に災いの騎士カタストロフィナイトを倒したと書いてある)



「……なるほどな。口だけの輩じゃねぇみたいだな」



「なら話を聞けるんですか?」



「無理だ」



なぜだ?あいつらを倒したという証拠は見せたはず……それなのになんで話を聞かせてくれないんだ?

俺たちがまだガキだからか?そんな偏見で断られたら黙ってられないな



「倒したっていう実績があってもお前たちはまだCランクだろ?せめてBになってから来い。それなら話くらいしてやる」



「わかりました…」



「そんな落ち込むな。この任務を達成出来たらBにしてやるよ」



「なんですか?」



「アグロクの森にいるミストラルタイガーの討伐だ」



魔物の討伐でBにしてもらえるのか。やるしかない

Bに上がるのは正直言えば面倒事に巻き込まれる気がして嫌だがここは仕方ない



「わかりました。やってきます」



「準備はしっかりしていけよ。ミストラルタイガーを討伐しようとして返り討ちにあった奴らはごまんといる」



「はい。しっかり準備して挑みます」



「じゃあ行きましょ。サクッと討伐して災いの騎士カタストロフィナイト倒すわよ!!」



「本当にいいんですか?」



「いいんだ。これでアイツらも災いの騎士カタストロフィナイトがどれだけ危険な奴らかわかるだろ」



「……でもあの人たちテソロさんたちにそっくりでしたね」



「………」



「あっ……ごめんなさい!!

私つい……」



「気にすんな。アイツらがテソロたちに似てるのは俺もわかってる」



やることが決まったなら早く準備をしてアグロクの森へ行って任務を達成しよう。この任務を達成出来れば一発でBに受かるんだから、かなり難易度は高いんだろう



「とりあえず準備しないとダメね」



「うん。一発でBに上がれるんだから、かなり難易度は高いはず」



「油断はすんなってことだ。準備のし過ぎは悪いことじゃねぇ」



「じゃあ各々必要なものを揃えてからまたギルドの前に集まろうか」



「そうだな」「そうね」「そうだね」



俺たちは必要な物を揃えるために1度解散した。俺は何を準備しようか?

準備するものっていっても、アイテムくらいか。回復アイテムはこの前の戦闘でほとんど使ってしまった。アイテムの買い出しに行こう



「お待たせ~」



「みんな揃ったね。よし行こう!!」



準備を整え、ギルドの前に集まった俺たちはアグロクの森へ出発した

俺は異世界で森と切っても切れない関係にある。森に好かれることやってないんだけどな



「アグロクの森ってどんな森なんだろう?」



「さぁな。俺も入ったことがねぇから分からねぇけど、マラ王国のネルロの森よりは過酷になるだろうな」



「魔物が強いの?」



「それもあるかもしれねぇが、何より俺たちはここに来るのが初めてだ。ネルロの森は何回も足を踏み入れてるから何となくわかるからそこまで苦労はしない」



「初めての場所の土地勘なんてあるわけないだろ。だから、どんな魔物がいるとか、盗賊が住み着いてるとかが分からねぇ。ここは危険しかない」



「入る前にそんなこと言う??」



「心配させるつもりはなかったんだが……」



可能性の話だとしても不安になることを森に入る3歩前で言うか?

アグロクの森、目と鼻の先にあるけど…



「ロイスの言う通り、用心して進まないと何かあった時にパニックになる」



「ここから先は私たちにも未知の場所。用心することは大切よ」



「そうか…」

(言われてみればそうだな)



「さぁ行きましょ」



俺たちはアグロクの森へと踏み入れて行った。何が起こるかは誰にも予想できない。異世界に来たばかりの俺と一緒だ。ネルロの森にぶち込まれ何があるのか分からないまま10日間を過ごしたあの時と同じだ。用心して進もう

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