異世界生活47日目:それ本気で言ってる???
俺たちは突如襲ってきた
しかし、その戦いでナリアが負傷してしまい病院で休んでもらっている。医師によれば2日は目を覚まさないとのことなので俺らはその間レイデリアを満喫することにした
ナリアが寝ているのに俺らだけ楽しむのは罪悪感があったが、ケールとロイスはウキウキだったため俺もつられてウキウキになってしまった
この2人に罪悪感はないのだろうか???
俺らもふざまくっていた訳では無い。1日満喫した後はいつも通り任務に励んでいた
しかし、任務が終わるとロイスに無理やり飲み屋に連れていかれた。そこで記憶が無くなるほど飲まされ気がつけば宿屋のベッドの上だった
ロイスが運んでくれたのだろう。頭痛が酷い。ロイス飲ませ過ぎだ
今日はナリアの見舞いに行くんだ。医師が言っていた2日はとっくに過ぎた。もしかしたら、今日目を覚ますかもしれない
それなのに二日酔いとは……何してんだ
早く病院に行こう。ケールとロイスが先に行ってるかもしれない
~???~
コンコンコンコン「大公様。ご報告が」
「お前か……入れ」
「失礼します」
「報告とはなんだ?」
「ラウムが殺されました」
「!?
誰にだ?」
「冒険者のグループにやられたようです」
イボスは王座を思わせる椅子に腰掛けている
部屋の壁面は石でゴツゴツしているが、部屋の真ん中には食卓が並んだ長机と何脚もの椅子が置いてあり最後の晩餐を彷彿とさせる
報告してきた人物はこの豪華な部屋に見慣れた様子であった
「冒険者?そんなものに負けたのか」
「自分の力を過信し過ぎたただの青二才でしたね」
「ラウムを幹部に推薦したのは誰だ?」
「ウルアでございます」
「ただの青二才とはいえ儀式が済めば幹部になる人間だった。そんな人間が冒険者に殺されるとは………
失望した」
「責任を果たせと言っておけ」
「承知致しました。そのようにお伝えしておきます」
「失礼しました」ガシャ
部屋を出ていく人物の顔は醜い悪魔のように笑っていた。しかし、その顔を見た者は誰1人いなかった。悪魔はまた違う部屋へと向かった
コンコンコン「入るぞ」
「バルトスか。ノックくらいしろよ」
「した。昼間からそんな飲んで、イカれた事してるからだろう」
「うるせぇな。俺に口出しすんなよ」
「大公様がお前に責任を取って欲しいと仰っている」
ウルアは何をしても大雑把だ。こいつに任せた仕事は大抵何の変化もなく俺に返ってくる
こいつは酒癖が悪い癖に昼間から酒を飲み、女を部屋に呼ぶ。毎日昼間からうるさいので殺してやろうかとも思った時もあった
だが、ラウムが殺られたことで大公様からの信用は堕ちた。ここで責任を取れなければこいつともおさらばだ
「は?なんだよそれ」
「ラウムが殺された」
「何言ってんだ?ラウムが殺される訳ないだろ」
「本当だ。現にもう2日は帰ってきていない」
「たまたまだ。2日くらいお前も帰ってこない時あるだろ」
「俺はな。ラウムはどんなに遅くても1日で戻ってきてた」
「……たまたまだろ」
本当にたまたまだと思っているならめでたいやつだ。自分の言うことを何でも聞く人形が急に死んで信じられないのか?あいつの実力はお前が1番わかってるだろうに
「大公様は
「……ラウムを殺したやつは誰だよ?」
「冒険者グループだ」
「冒険者?名前は?」
「カズヤ、ケール、ナリア、ロイス。全員Cランクだ」
「あいつはCごときに負けたのか…!?」
「早く自分の
「言わないでもわかってる!!」
まさに滑稽。自分の溺愛した人形を過信し幹部に推薦したものの、Cランクの冒険者に殺られるとは
自分派の幹部を増やして影響を強めたかったんだろうが逆にお前は大公様からの信用を失った
これであいつがどう動くんだろうな?
俺はこの前仕留め損ねたガキのトドメでも刺しに行くか。あのガキのどこに力があるかは知らないが大公様の命令だ。無視する訳にはいかない
~ナリア~
「ん……ここは?」
私が目を覚ますと見慣れない場所にいた
私は左頬にタトゥーが入った男に光線でうたれて……
そこからの記憶が無い
ここは病院?ベッドがたくさん置いてあるし、寝てる人もいる。私が寝ているすぐ横には杖と帽子が置いてある
私はここで寝てたんだ。どれくらい寝てたんだろう
みんなの姿が見当たらない。どこに行ったんだろう?
「お母さん……」
お母さんと呼ばれた気がして慌てて周りを見渡すと隣のベッドで寝ている綺麗な女の人の手をギュット握っている女の子がいた
そこまで小さい訳ではなく、私より3歳くらい年下だろうか。カズヤと同い年位かもしれない
お母さんとは寝ている女の人のことだろう。私かと思ってビックリしてしまった
隣の女の人は重い病気にかかっているんだろう。女の子がいくら呼びかけても返答は無い
「ねぇ……」
「おばさん起きたの?」
この子私のことおばさんって言った???
突然のことすぎて気が動転し私は固まってしまった
おばさんって言っても私まだ19歳だよ。お母さんが綺麗なのはわかるけど、だとしても私の見た目そんな老けてる?
「おばさんじゃなくてナリアって呼んで」
「ナリア……わかった」
「あなたの名前は?」
私がこうやって話している間も女の子はお母さんの手を離そうとはせずギュッと握っている
お母さんがそれほど好きなんだろう。お母さんには早く回復して貰いたいな
「私はヴィネ」
「ヴィネ。お母さんは?」
「お母さんは……………ヒック」
ヴィネが泣き出してしまった。
お母さんのことに触れられて欲しくなかったのかな
だとしたらやってしまった
私はなんて軽率な発言を…………こういう浅はかなところが嫌いだ
「ごめんね!!話したくなかった無理に話さなくても大丈夫だよ」
「お母さんは……襲われたの」
「え!?襲われたって……どうして?」
「分からない。でも私たちが住んでた家に入ってきた人たちは「ヴィネを探せ」って言ってた」
「あなたを?」
「お母さんとお父さんは私を守るために何度も魔法を受けて……ヒック」
お父さんは娘さんを守るために亡くなったんだ………娘さんのために命を張る立派なお父さんだったんだ
お母さんも娘さんを守るために命を張って、今も目を覚ましていない
素敵な家庭なんだね。それを壊すなんて最低だわ
「そうだったんだ。ヴィネは頑張ってるよ」
「お医者さんが言ってた。お母さんは助からないって……ヒック」
「………」
「ナリアならどうにかできる?」
「え!?私!?
私には無理だよ……」
「なんでそう言うの?
やってみないと分からないじゃん!!
なんであなたが元気になってお母さんは助からないのよ!!!私のお母さんを返してよ!!!!!」
そう言われても……無理なことは無理だよ。医師の方が私よりすごい回復魔法を使えるし、医術をマスターしてる。回復魔法だけでは病気や怪我は治せないその人が言っても無理なら私にはできない
ヴィネのことを思うと胸が辛い。ヴィネもご両親も幸せに過ごしてたはず。その幸せが急に壊されるなんて気持ちが不安定になるのもわかる
「落ち着いて!!!」
「うるさい!!!うるさい!!!うるさ……スー」バサッ
「ヴィネ!!」
「どうしました!?」
「ヴィネが!!」
「この子ですか……この子なら寝てるだけですよ」
良かった。彼女は相当疲れていたんだろう
寝ているだけなら一安心だ。ひとまず休んで欲しい
「何かご迷惑をかけてませんか?」
「そんなことないです」
「そうですか。それなら良かったです
元気になったんですね。あと1日は寝てるって先生は言ってたのに」
「そうなんですね……(もう1日寝てたんだ。今はそれどころじゃない)
いつから隣の方はいるんですか?」
「ビアンさんですか?ビアンさんは1週間前に来てそこからずっと寝たきりですね」
「そうなんですね……」
「ヴィネちゃんは毎日お母さんの見舞いに来ていて……なので助からないっていうのを伝えるのが酷だと思って中々伝えてなかったんですけど……
彼女自身お母さんが助からないのをもうわかってたみたいで……」
「本当に助からないんですか?」
「残念ながら……」
そうなんだ……
ヴィネには酷だけど仕方ない。現実がいつも思い通りに動くとは限らない。どれだけ辛いことでも受け止めなければならない
「何か酷いこと言ってませんでしたか?」
「いえ…大丈夫です」
「彼女は他の人が元気になるとなんで私のお母さんだけが元気にならないの?って言うんです。それで患者さんやご家族を困らせてて……」
(私にも言ってた。ヴィネは歯止めがきいてない)
「そういえば、ヴィネが襲われたって言ってたんですけど…」
「はい……どうやら#災いの騎士__カタストロフィナイト__#みたいなんですよ」
「
「はい……襲ってきた人たちの左手にタトゥーが入ってたって言ってたんです。左手にタトゥーが入ってるのは
「その中には顔にタトゥーが入った人もいたみたいなんですよね」
「顔にタトゥーがあると何かあるんですか?」
「顔じゃなくても2つタトゥーが入っているのは組織内でもかなりの実力者ってことです」
私たちがこの前にあったのも左手にタトゥーをしていた。リーダー格の男は左頬にタトゥーをしていた。あいつはかなりの実力者だったんだ
だから1人でもあんなに強かったんだ。常軌を逸してるカズヤと対等にやり合ってたし
「その人、この前倒してます」
「え!?本当ですか!?」
「はい。この前任務をやってた時に左頬にタトゥーが入った男の人を倒したんです」
「お強いんですね
でも、彼女は右手の甲にタトゥーが入ってるって言っていて……」
「ヴィネが見た人とは違う……」
私たちが倒した人とは違う人……
どんな人間なんだろう。1つ言えるのは最低な人間だと言うこと。ヴィネたちの幸せを強引に引き裂いているんだから
私がヴィネのためにやってあげられることはあるかな?何でもいいから彼女のためになりたい
~次の日~
「ヴィネ?」
「………」
私はヴィネに徹底的に無視されている。元気になった私はヴィネが来ると積極的に話しかけているのだが、このように無視されている
「ねぇ……」
「………」
「あなたの望みは何?お母さんを助けて欲しい以外で」
「……!!!」
ヴィネがこっちを向いてくれた
ヴィネのためにできることがあるなら何でもやってあげたい。お節介かもしれないが、困ってる人は放っておけないのだ。それにヴィネはまだまだ子供だ
ヴィネと私はどこか似ている気がする
「あなたの力になりたい」
「なら……お父さんとお母さんをこんな目に遭わせた人を倒して」
「……」
「許せないの…!!お父さんとお母さんを酷い目に遭わせた人を…!!!」
「……分かった」
「え?」
「ヴィネのその願い叶えてあげる」
私はヒーローでも何でもない
だけど、酷い目に遭って前を向けないヴィネに光を照らしてあげたい
私にできることはヴィネたちをこんな目に遭わせた人を倒すこと。ならそれを全力でやらないと
「いいの?」
「良いに決まってるよ。だから、私が戻ってくるまでいい子にしててね」
「分かった!!!」
~次の日~
「元気そうだな」
「あなたたちは遊んでたみたいね」
「ギクッ!!!別に遊んでないけど」
「顔見れば分かるわよ。頭痛いって書いてある」
全くこの人たちは……
カズヤもケールとロイスにそそのかされて遊んでたんだろう。こっちは寝てたって言うのに……
まぁでもそれくらいの方が私も気が楽だしね。ずっと心配されても気が重い
「さぁ早く行きましょ」
「そうだな」
「じゃあね」
「うん。またね」
「どうした?ナリア」
「何でもないわよ」
私はヴィネに笑顔で手を振ってお別れをした
~カズヤ~
「これからどうする?」
「マラ王国に戻るか?」
「また戻るのか」
「
「「「え?」」」
この人本気で言ってる???
あなたその人たちと戦って死にかけたんだよ???
正気か???
俺だけじゃなくてもケールとロイスも同じ顔してるけど……
あんな奴らとまた戦わないといけないのは聞いてない。病院で寝てる間ナリアに何があったんだ??
「なんで?」
「そんな急にどうした?」
「記憶ないの?」
「あなたたちは遊んでたんでしょ?」
「「「ウッ……」」」
「なら少しくらい付き合ってよ」
それを言われると反撃できない
これはナリアについていくことになりそうだ
それにしてもなんで急に
また死闘をするのか………弱ったな
もう1回聞きたい
姉貴、それ本気で言ってる???
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