異世界生活43日目:はじめてのだんじょん
俺はクラスメートの様子を見るため王城へ忍び込んだ。神やカンちゃんの言う通り、クラスメートは過酷な環境で暮らしてるようだった。隙があれば1人でも助けてあげたかったが途中で王国騎士団に見つかってしまったため急いで宿屋まで戻ってきた。何故見つかったのだろうか???あの隊長らしき人物にしか見えていなかったみたいだが
でも幸いにもロイスから貰った仮面のおかげで素顔は見られていないはず……
しかし、今度王城に忍び込むにはどうすればいいだろうか???おそらく今回の騒動で警備が厳重になってしまった。クラスメートを助ける前にどうやって王城へ忍び込むかを考えないといけないな………
俺の隠密スキルがバレたら、カンちゃんの隠密スキルもバレてるのではないだろうか???
もしそうであれば特定される日は近い。今日王国を回ったけど、肩に鳩を乗せてる人なんて1人もいなかった
「なんであいつだけ俺たちのことがわかったんだ?」
「あいつは真眼の持ち主。真眼は相手を分析できたり、隠密スキルを見破ったり、相手を見透かすことが出来る」
「特殊能力ってことか……あいつをどうにかしないと王城には忍び込めそうにないな」
「ちなみにバレたのはお前だけ」
「え?なんで?隠密スキルを見破るんでしょ」
「我は隠密スキルじゃなくて、同化を使った」
なんだよそれ???聞いた事ないスキル出てきた
俺はレベルを上げまくったおかげで、スキルを全部に手に入れたけどスキルに同化スキルなんてものはなかった
神しか使えないチート技のなにかなんだろうな。ズルすぎるだろ
「何それ???」
「空間と同化する。真眼でも生物がいることに気づけない」
「俺は使えないの?」
「神か神の眷属しか使えない」
「世界はやっぱ不平等だ」
もう、カンちゃんが王城に忍び込んで来ればいいんじゃないか???
そこまで強いなら、俺がいてもただの足でまといにしかならない。カンちゃんに忍び込んでもらって、クラスメートを召喚した理由とクラスメート救出して来てもらえばいい話だ
「カンちゃんが忍び込んでよ」
「調子乗んな」カンカンカンカンカン
「痛い痛い!!!わかったわかった!!!俺も行くから!!!!」
「我寝る。窓開けろ」
「わかりました……」
痛っった!!!頭削れるかと思った
さすがにダメか。そっちの方が成功率上がると思ったんだけどな
カンちゃんも寝たし、今日はもう寝よう。これから考えよう。俺はベッドに飛び込み目を閉じた
視界が真っ暗になり意識が遠のいていく
「久しぶり、今日はド派手にやったね」
「お久しぶりです。まさかバレるとは未熟でした」
「王城は王国の中枢。簡単に侵入はできない。それでも、よくやった方だと思うよ」
「ありがとうございます」
「今回は何の用ですか?」
「君に大事なことを伝え忘れていてね」
「大事なこと?」
大事なことと言われてもなにかは検討もつかない。良いことなのか悪いことなのかどっちなんだろうか
俺は神からの大事なことに緊張する
「元の世界に戻るなら、その方法も自分たちで見つけて欲しいんだ」
「戻してくれないんですか?」
「僕は干渉できないって言っただろう」
「でも、僕は特例で異世界に飛ばしてくれたじゃないですか??」
「君は本来ならクラスメートと同じように異世界に召喚されるはずだったけど、君は召喚される前に死んでしまった。だから、僕が召喚の手伝いをしてあげただけだ。つまり、死んだ君を生き返らせて異世界に飛ばすことで、クラスメートとは形が違くても異世界に召喚されたってことになるんだ」
「王の身勝手な召喚に僕が乗ってあげただけだよ」
「なるほど………」
俺を生き返らせて異世界に飛ばすのは王がやった事の手伝いだから、特例って言ったのか
元の世界に戻る方法なんてどうやって知ればいいんだ???
王様なら色々知ってそうだもんな。殺す前に色々問いただす必要があるかもしれない
「王なら色々知ってるだろうね」
「殺す前に尋問する必要があると」
「そうだね。君たちを召喚した本当の理由も王に聞くのが1番早い」
「どうやって王城に忍び込めばいいんでしょうか?」
「まずは王城の構造を把握してみたらどうだい?」
「構造を把握する?」
「あぁ。そうすれば無駄なく王のところやクラスメートのところへ行けるだろう」
「確かに。でも把握するために王城へ何回も忍び込まないといけないんですか?」
「いや、王城の設計図がどこかにあるはずだ。それがあれば把握出来る」
「それを探す必要があるんですね」
「うん。注意して欲しいのは、王城は何回か改築して作り替えられているから、設計図を手に入れてもそれが今の構造を示しているとは限らない」
それはめんどくさい。正解の設計図が手に入るまで何個も設計図を手に入れないといけない
仮に設計図が手に入ってもどれが今の構造を示しているやつか分からないから調査する必要があるな
「全部の設計図を手に入れて、どれが正解かを見定める必要があるというわけですか」
「どれが正解を見定めなくても最悪、全部暗記すればいい」
(それは俺の小さな脳みそにはオーバーワークです)
「その最悪はできないので、話を聞いたりしてどれが正解か見極めます」
「そう。天界から応援してるよ」
「はい。ありがとうございます」
俺の意識はそこで途切れた。突然視界が真っ暗になり、次、目を覚ますと横にカンちゃんがいた
俺はカンちゃんのつつきを避けきれず当たってしまった最悪な目覚めとなった
今日はギルドに集まってから、森にいた期間に見つけたダンジョンに挑戦する予定だ。早く準備してギルドに向かおう
「おはよう」
「カズヤ。おはよう」
「カズヤ知ってるか?昨日何者かが王城に忍び込んで王国騎士団とドンパチやったらしいぞ」
(ギクッ!!!!もう知れ渡ってる!!!!)
「へ、へぇーそうなんだ。勇気ある人もいるんだね」
「勇気あるどころじゃねぇよ。下手すりゃ死ぬぞ。今王国騎士団が血眼になって侵入者を探してる」
「物騒よね。王城に忍び込むなんて何考えてるのかしら???」
(王様殺すためです…………)
「不穏なことがあったけど、俺たちは俺たちで気を引き締めて行こう」
俺たちは再び森へ入り奥へ奥へと進んで行った。森をしばらく歩いて現れたのは魔物たちの巣窟
これを冒険者たちの間ではダンジョンと呼んでいるらしい。ダンジョンには最奥に魔物たちが隠している宝箱があるみたいだ。レベルも上げれてアイテムも手に入るのはありがたい
「みんな準備出来た?」
「私は準備万端よ。行きましょ」
「うん。俺も準備できてるよ」
「あぁ。バッチリだ」
「じゃあ行こう」
俺たちは準備をしっかりしてダンジョンに足を踏み入れた。中は洞窟のようになっていて、見通しは悪い。だが、俺は暗視スキルがあるためみんなを先導して進んで行った
「魔物だ!!」
(ローブを羽織ったゴブリン!?魔法でも使うのか??しかも何体もいる。ウィザードゴブリンって言うのか)
「グヴォォォォ!!!!!!!」
「攻撃に集中しろ!!敵の攻撃は俺が防ぐ」
「体術強化・
「雷魔法・
「#@$&*$¥………」
(なんて言ってるんだ??言語を話してない)
その直後、ウィザードゴブリンが魔法を繰り出した。ナリアの魔法を相殺し、突進して行ったケールに魔法が直撃した
ケールは盾で守ってくれているロイスの元に吹っ飛ばされ、ロイスもそれを受け止めきれず防衛線が瓦解した
「ケール!!!ロイス!!!」
「大丈夫!?!?」
「あ、あぁ……」「大丈夫だよ……」
「魔法を繰り出すゴブリンか……厄介だな」
「何か策がないとキツイぞ」
ただ策を考えるにもウィザードゴブリンたちは絶え間なく攻撃してくるので考える隙すら与えられない。これでは打開策が見つからない
俺が隠密スキルで姿を隠して近づこうにも魔法の雨が降っているためどこかで当たってしまう
「カズヤ何か案はある??」
「いや考えても出てこない」
「ならここは一か八か勝負行くべきじゃねぇか??」
「でも近づいたら魔法当たるし、魔法は消されるし行くだけ無駄よ」
「魔法が消される……」
(魔法は強い魔法の方が勝つ。それはあの決戦でわかった。てことは、あいつらより強い魔法がうてればいいのか)
「ナリアMPある?」
「まだあるわよ」
「ならダリアにやった魔法をやって」
「わかった」
あの魔法なら、あいつらの魔法に相殺されないはずだ。あの魔法はダリアを確実に潰すためにナリアが覚えた魔法。トリックポイントもかなり使っていた。そんな魔法が簡単に相殺されることはないはず……
「火魔法・
「ウギァァァァ!!!!!!」
「すごい熱いけど、全部倒せてる」
「やるじゃねぇか」
「さすがだよ。ナリア」
ナリアの魔法はウィザードゴブリンの魔法を蹴散らして、ゴブリンを炎で包んだ。ゴブリンたちは丸焦げになっている。MPの消費が激しい代わりにとてつもない威力をしている。ここぞという時に使うべきだな
「でもこれでMPは空っぽよ。次、魔物出た時は何とかしてね」
「任せて」「後ろで休んでろ」「任せてくれ」
「じゃあ奥に進もう」
俺たちは再びダンジョンの奥へと進んだ。魔物が何体も出てきたけど力を合わせて倒して進んだ。行く先にいくつも分かれ道があった。このダンジョンはかなり複雑に作られているようだった
意外と魔物って賢いのか???さっきも魔法扱える奴いたしな。独自の社会を作ってるのかもな
「なんだこれ?」
「いかにもみたいな扉あるけど……」
「入るしかないな」
「そうね。引き返すなんて嫌だし」
俺たちがダンジョンを進んでたどり着いたのは、石で出来た大きな扉。この奥に何があるのかは分からないが嫌な予感がする。ヤバそうであれば無理せずに引き返そう
「入ろうか」ギギギギ……
(重い!!)
「広いな」
「何かいるのかと思ったけど何もいない」
「ねぇ、あれ見て!!宝箱あるよ!!」
(怪しすぎる。こんなにだだっ広いのも気になる)
「こんなとこにあったか」
「ここの魔物は用心深いね」
「気をつけて。用心しないと何が出るか分からないからね……」バサバサ
「カンちゃん急にどうしたんだ?」
「さぁ分からない」
カンカン カチャ「開いた」
何してんのーー!!!!!勝手に開けんなよ!!!!!
何が起こるか分からないんだから!!!勝手なことをするな!!!!!
でも何も無い……???嘘だろ???これだけだだっ広い空間作って、いかにもな宝箱置いて何もなし?!?!
ダンジョンって案外そんなもんなのか。大したことないんだな
バサバサ チョコン「勝手なことするな!!」
「何も起こってない」
「……そうだけど!!何が起こるか分からないんだから警戒しないと!!!」
「まぁまぁ…カンちゃんの言う通り何も無いんだし」
「確かに。それくらいにしとけよ」
「宝箱の中身はなんだったの??」
(ナリアさん。空気読んでください)
「見ればいい」
あの宝箱には何が置いてあったんだろうか。何も入ってないことはないと思うが……
無難なのはアイテムだろうか??もう少しいいものなら武器があるかもしれないな
ナリア早。もう宝箱のところに行ってる
「え………」
「どうしたの?」
「空っぽ………」
「嘘でしょ???」
「本当よ………」
(ほんとだ。何も入ってない。ここまでこさせておいて何も無いのかよ)
「もしかしたら、先に誰か来てたのかもね」
「そうだろうな。ダンジョンの宝箱に何も入ってないってことはねぇだろうからな」
先を越されてたか………
宝箱が手に入らなかったのは残念だけど、みんなのレベルが上がったからよしとしよう。早く帰らないと日が落ちて野宿になる。それだけは避けたい
宿屋に無事帰れるだろうか??王国騎士団が血眼になって俺を探してるって聞いたしな……
いざとなったら国外逃亡するしかない。ケールたちとは別れの言葉を交わすことなくさよならになるかもしれないな
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