異世界生活42日目:王城にお邪魔します

昨日はクズたちとの決戦で見事勝つことが出来た(俺だけなんもしてない)。このような日には祝杯をあげるべきだということで盛大に祝った。ロイスが変な仮面をくれたけど、使い道無いから処分しとこう。ライオスもよくやったと言ってくれた。1ヶ月間の森生活は無駄じゃなかった

ちなみに言うとあの戦いの後、クラウズたちは病院へ運ばれたけど、ダリアとイーダは目を覚ましたが骨が何本か折れており動くことは出来ない。クラウズに関してはまだ意識を取り戻していないらしい。カンちゃんやりすぎだって…………

今日はぐっすり寝れたが、飲み過ぎて頭が痛い。今日は未だにできていない王国の案内をしてもらうことになっている。待ち合わせ場所はギルドだ

待たせるといけないから早く行こう



「城にいつ入る?」



「確かに……異世界来て1ヶ月経ってるのに、クラスのこと放置してたもんな」

(そろそろ様子くらい見た方がいい気がする。俺より過酷なことされてるって聞いてるし)



「今日ケールたちに王国のこと案内してもらってから行こうかな」



死んでないといいけど……

でも、クラスの人俺のこと知ってるか?

俺がクラスの人の名前ほとんど知らないから、あっちも知らないのでは……???

認知されているかの不安に駆られながら俺はギルドへ向かった



「おはよう」



「ふわぁぁ、おはよう」



「……おはよう」



「おう。元気そうだな」



「頭痛いけどね。

ナリアとケールの方が元気なさそうだけど」



「こいつらたまに飲みすぎるんだ。気にしないでくれ」



「うん……私たちは大丈夫だから……ふわぁぁ」



「……大丈夫」

(大丈夫じゃない)



そういえば昨日この2人えげつない量飲んでたな。あのライオスさんとロイスが引くほどだったし……

そりゃこうなるのも無理ない。ナリアなんか途中からダリアの悪口しか言ってなかった。ケールもダリアのことを気に入っていないから、勝ったことで箍を外したんだろう



「じゃ行くか」



「そうしましょう」



「……」

(ケールは言葉を発する気力すらないのか)



「うん」



俺はケールたちに王国のことを案内してもらった。その中で愛情を持って鳩を飼ってないと捕まることがあると聞いた。あと、連れてるだけでも追い返すような素振りを見せると捕まるとも聞いた

カンちゃんっていう名の爆弾を俺は肩に乗せている。愛情をもって育てては無いけど、連れてるだけっていえば何とかなるだろ。追い返す素振りは見せてないし大丈夫だよな???

これで捕まったらどうしよう………終わりだ



「ここが武器屋だ。俺たちの武器もここで作ってもらった」

(ロイスたち御用達の場所ということか。安心出来る)



「カズヤはまだ武器持ってないだろ。試しにここで作ってみたらどうだ?」



「そんな簡単に作れるの?」



「金を払えば要望通りに武器を作ってくれる。要望が多いと値段は上がるけどな」



「へぇー今度作ってみるよ」



武器か。確かに欲しいな。これからも素手でやっていくと考えると心もとないな。せめて短剣くらい作ろうかな。いや、金あるし銃を作ってもらおうかな



「今度と言わず今いいだろ」



「え!?今!?」



「あぁ。別に少し寄り道したっていいだろ」



「せっかくだし武器作ってみなよ」



「……」

(ケールの顔色さっきより悪くないか?寝てた方がいいんじゃ…)



「みんなもこう言ってるし入ってみろよ」



武器屋に入ると初老の男の人が明るく出迎えてくれた。壁には剣や盾、槍など色んな武器が飾ってある

さすがに銃はないか。この世界に銃は存在しないのかもな

この店の店主の男性はテリオさんと言い、この店を長いことやっているみたいだ



「どんな武器を作りたいんだ?」



「短剣が欲しいんですけど」



「短剣か……それならあれがいい」

(テリオさんが壁にかけてある短剣を指差した

この短剣か……良さそうだな)



「あの短剣は俺が力を注いで作ったものだ。質は保証する。あとは使い方次第だな」



「テリオさん。俺はこいつに武器を作って欲しくて来たんだ。商品紹介しないでくれよ」



「いや、これにするよ。これを下さい」



「1000アーツだ」



「まいど。また来てくれ」



「ありがとうございました」



初めての武器。テンション上がるな。この短剣を使いこなせるようにしたい。短剣をとは言っても刀だからやっぱり重いな。これを使いこなせるには時間がかかるかもな



「良かったのか?」



「まずは買って試そうと思って」



「そうか」



「早く次行きましょ」



「じゃあ行くか」



俺はそのあともロイス先導で王国を案内してもらった。回復アイテムなどを売っているショップ。神に祈りを捧げるための教会。怪我をした時に駆け込む病院。そして中央にそびえ立つ、巨大な王城。いつ見ても巨大だ。城の門には見張りの兵が立っていて普通には入れないようになっている。隠密スキルを使えば入れそうだな



「ざっくり回ったな」



「ありがとう」



「礼を言われる程じゃねぇよ。せっかく来てくれたんだから案内くらい当然するだろ」



「でも、ありがとう。ケールとナリアも」



「気にしないで」



「当たり前のことだから……」



この2人は話しかけるなという雰囲気を醸し出してる。結構歩いてたけどよく耐えたな。早く帰って休んだ方がいい。無理しないで欲しい



「今日はもう解散するか。こいつらが体調悪そうだしな」



「うん。じゃあね」



「あぁ。またな」



「明日また会いましょう」



「……」

(ケールはほとんど言葉を発さなかったけど大丈夫か??)



俺は宿屋に戻ってきた。そして少し休憩した後、短剣とカンちゃんを肩に乗せて王城へ出発した。これからやることは犯罪だ。見つかれば一発アウト。牢屋行きだ。牢屋への片道切符を買うわけにはいかない。用心していこう

そうだ。万が一、バレた時のために仮面を被って行こう。ロイスがパーティーグッズといって今日くれたものだ。こんなところで役立つとはな。ロイスに感謝しないといけないな



「カンちゃん、魔法使えるならスキルも使えるよな」



「使える」



「なら、隠密スキルで姿消しておいてよ」



「人前出る時はたまに使ってる」

(たまにの中に今回は入ってるよね???)



「そうなんだ」



「よし行くか」



王城の近くまで来た俺は隠密スキルを発動させ、門をくぐった。見張りがいたけど、隠密スキルのおかげで気づかれることは無かった。別に正面から入る必要ないのか。もう入っちゃったし、しょうがない



「すげぇ…」

(城の中はすごい豪華で、天井には巨大なシャンデリアが飾られている。めちゃくちゃ人いるし、緊張する)



「そこじゃない。反対から入れ」



「回り込んでどうするの?」



「反対から入った方が、クラスメートに会える」



「なるほど……頼りになります」



俺はカンちゃんに言われた通りに回り込んで反対から城に侵入した。反対側には扉がなかったので窓から侵入した。廊下に出たみたいだ。扉がいくつかある。それにしても廊下長いな。だいぶ先まであるみたいだ



「上に行け。真っ直ぐ行けば階段がある」



「了解。真っ直ぐね」



「やっと見つけた……長すぎだろ。途中で分かれ道とか歩かせる気ないだろ」



「で、次は?」



「まだ上。この廊下真っ直ぐに階段」



また歩くのか……どんだけ歩かせんだよ。階段繋げとけよ。めんどくさいな

俺は再び、長い廊下を歩いた。途中で分かれ道がいくつかあったけどカンちゃんの言う通りに進んだ。廊下が長くて複雑とかどこに何の部屋があるのか分からないだろ



「見つけた……長いって」



「で、そろそろじゃない?」



「上。真っ直ぐに階段」



「ふざけんなよ……どこに監禁してんだ」



俺はまたしても長くて複雑な廊下を歩いた。こんなことならもっと事前に調べておけば良かった。軽いノリで様子見しようとか言ったのが馬鹿だった



「あった……」



「もういいですよね?」



「その窓から飛び降りろ」



「は??お前何言ってんだ」



「ここじゃない。地下にいる」



「それを最初に言えよ!!!!」



「お前、城に入った時から後をつかれてる」



隠密スキルが破られてるってことか???

だから、わざわざ長い廊下を歩かせて上に行ったと…そしてそこから急に飛び降りることで追ってきてるやつは長い廊下を歩く羽目になると

カンちゃん俺より賢いな。でも、事前に言って欲しかった



「見つけたぞ!!」



「ヤバい!!」



「早く飛び降りろ」



「ここどんだけ高いと思ってんだ!!」



「侵入を許すとは我が王国騎士団の恥だ!!ここで始末する!!」



「体術強化・剣術強化・風魔法・風霊の一撃シルフィードブロウ!!!」ヒュュン!!



「早くしろ馬鹿」



「あー!!もうどうにでもなれ!!」



俺は攻撃が当たる数秒前に窓から飛び降りた。体術強化の魔法をかけていたためそこまでの怪我は負わなかったが危ないところだった。地下にいるんだよな。今なら様子くらい見れるはず



「どこ?」



「そこの蓋」



「いかにもっていう蓋だな」



俺は蓋を開けて地下へと続く階段を降りた。なにか音がする。音のする方向へ行ってみよう

見張りいるのか。隠密スキルを使って行こう。カンちゃんも使ってくれよ



「まさかとは思うけどあれ?」



「あれ。お前より過酷」



「確かに……あれは可哀想だ」



クラスメートが真剣を一生懸命振っている。休憩は許されず、少しでも遅れれば木の棒で体を叩かれる。汗をダラダラ垂らしてやらされてる。顔も辛そうだ……奥には牢屋のような鉄格子がある。ここで暮らしているのか。囚人のような扱いを受けてる

それにみんな首輪つけてる。奴隷とでも言うのかだろうか???こんな人権のない扱いは酷過ぎる。助けられるなら助けてあげたいけど、俺も今追われてるしな……



「ここだ!!」



「え!?もう降りてきた!?」



「早く出ろ。捕まる」



「わかってるって!!でも、挟まれてるから逃げ道ない!!!」



「いたぞ!!!」



「なになに!?」「誰かいんのか!?」

(みんなには俺の姿は見えてない。この金髪の男にしか見えてない)



「ちょこまかと……」



「体術強化・剣術強化・氷魔法・氷結急襲フリーズラッシュ!!!!」ピキピキ!!!



「いやぁぁぁぁ!!!」「逃げろ!!!」



「反撃」



そうだ!!俺、魔法使えるんだ!!

でも俺の魔法でどうにかなるのか???

いや考える暇はない!!!!やるしかない!!!!

誰も見えないところから技を出すのは位置を知らせることになるけど仕方ない!!!!



「火魔法・火柱ピラー!!」ブォォォ!!! バーン!!!!!

(うわ!!視界が全く見えない!!でも、この隙に出よう)



「どこに行った!?!?」



「ルーク様、少しやりすぎかと……」



「王城へ侵入してきた不届き者を始末するのに遠慮は必要ない!!!」



「ですが、ここには召喚された者もおりますので…」



「……あいつらのどこが救世主だ。異常な力を持った侵略者の方が正しい」



危ねぇーーー!!!!!

何とかバレずに地下を脱出することが出来た。マジでピンチだった。牢屋への片道切符を買うところだった。とりあえず戻ろう。早く戻って休みたい



「危なかった……」



「でも、クラスのみんなは大丈夫か???置いてきてしまった……」



「衰弱して死ぬことはあっても、殺すことは無い」



「死んだらだめだって!!」



「衰弱してる奴には回復魔法をかけて生き延びさせてる」



「生殺しか……あれだけ辛いことをさせて死にかけたというのに、無理やり回復させてまた同じことを繰り返す。何がしたいんだ???」



「それを調べろ」



そうだな。そのためには再び城へ潜り込む必要があるのか……次は警備が厚くなってるはず。ちゃんと準備して行かないといけないな。クラスのためにもこんなところで失敗する訳にもいかない

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