第12話 メイドさん
部屋にある大きな出窓から陽気を纏った朝日が差す。これからは毎日この朝日を浴びながら起きることになる。良い目覚めになること間違いなしだ。
昨日はばったりカルミアと出会ってしまい、驚かす羽目になってしまった。結局あの後自分でトイレを探して寝た。
国王には意見しなければいけない。なぜ彼女に何も言っていないのか。流石に迷惑だろうと思うのだが。
コンコン、、、
「失礼します」
聞き覚えのないおっとりとした声とともに、メイド服を着た女性が現れた。
「始めまして。
メイドさんだ。見たら分かるのだが。アニメなんかの偏見でメイドさんってもっと「ご奉仕します♡」みたいな感じだと思っていたが、ふわふわした雰囲気のお姉さんという印象だ。
「始めまして。えと、こちらこそよろしくお願いします。
「いえ、御座りになっていて構いませんよ。主人からも沢山話をすると良いと言われたので、お話しましょう」
こっちに数歩近付いて、柔らかい笑顔を見せる。他意は無い事は重々承知だが、何だか期待してしまう。
「今日のご予定は?」
「特に決まってないけど、カルミアさんのところに行って、魔法を教えようと」
「魔法が得意なんですか?!、あっすいません取り乱しました」
急に俺の方を振り向きキラキラとした眼差しを向けてきた
「魔法に興味有るんですか?」
「はい、実は。主人に雇っていただく前は魔法の勉強をして、戦えるようになりたいと思っていました」
「でしたら、カルミアさんと一緒にお教えします?」
「、、、有難う御座います。しかし、私はメイドなので仕事をしなければ」
「そうですよね。まあ、時間が空いたら何時でもどうぞ」
「はい。あ、お嬢様お部屋はお隣ですので、ノックして頂くと良いと思います」
ぇ?お嬢様って、
「お嬢様って、カルミアさん?」
「はい。そうです」
よりによって隣部屋なのかよ。
「カルミアさん、俺が来て迷惑に思っていないかな」
俺の言葉を聞いて、一瞬驚いたような顔を見せ、ふふっと笑うと
「いえ、とても喜んでいらっしゃいましたよ」
どうして笑われたのかは分からないが、迷惑で無いなら良かった。
「しかし、かつてこの国を救った勇者様がこんなにも可愛らしい方だなんて思いませんでした」
独り言に近い大きさの声でイリスは言う。
「そうですか?まあ、大人と言うにはまだ早いかもしれませんね。」
ん?
「どうして俺が勇者なのを知ってるんです?!」
「ふふっ、秘密です。でもご安心下さい。誰にも言ったりしませんから。二人の秘密ですよ?」
掃除をしながらの片手間でありながら、ちらっとこちらを見て笑う。その笑顔を見ると、惑わされるように、彼女が何故俺の前身を知っているかなんて気にならなくなった。
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