第11話 実質同棲ですね
いやいや、おかしい。俺はここに住むなんて言った覚えは無いぞ?
「ここに住むんですか?今日から?俺が?」
「ああ、そうだぞ。だって、これから何かする宛ても無いんだろう?だったらここに住んであの子と一緒に過ごせばいい。それに、万が一の時は私たちの護衛として守ってほしい。良いだろう?」
「でも、、今の家にある荷物だったりを取りにいかないと、、、」
「あぁ、それなら、君が今日来た時に荷物を持ってこなかったから、使いに取りに行かせたよ」
手が早すぎるだろ、、、正直断る理由もないし、ぜひとも住みたいが、カルミアと兄弟のような距離関係になってしまうな。さすがに急展開すぎる。向こうが嫌ではないだろうか。
まあ、いいか。彼女に魔法を教える約束もしたし、移動しないでいいのは好都合か?
「家具は最高級のものを用意しているから。快適だと思うが、何かあったらメイドか誰かに言ってくれ」
「はい」
メイド!?メイドがいるのかここ。日本で普通に過ごしてたら滅多に出会うことの無い男の夢。そんな職業が本当にここにいるのか。
何を興奮しているんだ俺は。国王と王女様と一緒に過ごすというのに、そんなふしだらな考えでいたら駄目だ。
はあ、なんかここ最近で一番疲れた気がする。驚きと焦りでどっと来たな。そんなことを考えていると、目の前のふかふかそうなベッドに目が行く。こんなの寝るしかないだろ。まあ細かいことは明日考えればいいや。
ん?どこだここ。あぁ、そうだった、今日から王城で過ごしてるんだった。ところで、トイレはどこだ。聞いておくのを忘れていた。でもこの部屋の近くにあったはずだからちょっと歩いて探してみるか。
ガチャ…
「きゃあっ!だれ?!」
「!?、、、びっくりしたぁ。驚かせてごめんね、大丈夫?」
「へ?何で優斗さんがここに?え?」
「え?聞いてないの?」
「何のことですか?」
おい、国王、言ってないのかよ。カルミアさんが嫌がったらどうするつもりだったんだ。
「マジか、じゃあちょっと説明しようか。立ち話もなんだから、部屋入ってくれる?」
こうして彼女を部屋に招き入れ、国王に半ば強引にここに入居させられたことを説明した。あぁ、トイレはどうしたって?そんなのびっくりしてすっかり忘れていた。
「そうなんでしたか、なんかすいません。おじいちゃんのせいで同棲みたいなことになってしまって」
「同棲!?、え、まあはい、実質同棲ですね。、、、でも全然大丈夫!むしろありがたいぐらいだから」
実際あのベッドの寝心地は最高だった。
「そうですか、、、それなら、良かったです」
急にうつむいてしまった。やっぱり彼女のほうは嫌だったのか。
「こっちこそごめんね?急に俺なんかと一緒に暮らすことになるなんて嫌だったよね」
「そんなことないです!、、あっ、ごめんなさい」
急に大きな声を出して否定された。怒らせてしまったかな。まあ、否定してくれたから、大丈夫だと思っておこう。
「、、、もう遅いですし、そろそろ部屋に戻りますね。おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
あ、トイレの場所聞けばよかった、、、
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