第14話 スキー教室
慌ただしい休日も終わり再び月曜日の朝、子供達は朝ご飯が出来上がるまで遊んでいる。一希がリビングのカレンダーに予定を書き込む。再来週、学校の宿泊行事があるので、その予定を書いている。土日月と休日を含めた2泊3日の日程となるため、次の火、水が代休になるようだ。
菜乃華もさすがにスキー教室の日程は口頭では聞いていたので頭には入っていた。その土日は実家に帰ることにしていた。
まだ昨日のイライラがおさまらず、夫婦の会話はほとんどなく事務的なことだけだ。子供達と自分の朝ごはんを机の上に置く。
『ご飯できたよ。』と言いながら華咲をベビーチェアに座らせた。一希の朝食は台所に置いたままだ。朝のニュース番組を見ながら朝食を食べるのが日課であるが華咲の離乳食を食べさせるのに必死で頭に内容は入らない。お天気のコーナーになると宗一が今日の天気と気温を教えてくれる。そこだけは頭に残る。
一希も一度席に着くが、朝食が置かれていないことに気づき、台所へ向かう。そのついでに棚からプロテインの大袋をとりだし、シェーカーに粉を入れる。そこに水を入れ蓋をしてかき混ぜていた。プロテインの粉が少し床にこぼれてしまったが、気にせず、左手にプロテインの入ったシェーカー、右手に朝食の皿を持ってイスに座った。4人がテーブルを囲んで朝食を取るも、そこにほとんど会話はなかった。
先に一希が朝食を終え、食べた皿を流し台に持っていく。歯を磨きながら荷物をまとめている。子供達も食事を終え、菜乃華が皿を台所に持っていく。白い床には少し茶色がかったプロテインの粉がよく目立つ。急いで近くにあったティッシュを濡らし、床を拭く。
そして台所の作業スペースにプロテインの大袋が置かれたままでそれを棚に戻すのも菜乃華の仕事になっていた。
一希は仕事へ行き、宗一を保育園に送迎する準備をする。この時、菜乃華の頭の中は'どうやったら一希が死んでくれるか'ということを考えている。これを考えている時が少しストレスの発散になっている。そんな時、ニュースで『北陸地方は雪崩に注意。』というアナウンサーの声が聞こえた。これだ!と思った。自然災害なら事故死になる。そして再来週はスキー教室に行く。生徒達は雪崩に巻き込んでほしくないので、一希だけが雪崩に巻き込まれるという事態を願うことにした。
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