エンドロールデンプシー

3ふんマン

第1話

「どこか周りと馴染めない」

それは誰だってそうかもしれないし、僕だけかもしれない


今年30の男は、と自身をキャラクターに見立てて話を書く


「こいつは承認欲求なのですかい?!」


まぁいいから見ていきなさいよ

人生のバーゲンセールさね

今なら何と無料だよ!


…こほん、調子に乗り申した

寒空の下で凍えてないだけ奇跡かもしれない

そんな男の物語です



親は良く喧嘩していた

僕も親のことは大嫌いだった

なんたって産んでくれと頼んでないのに

嫌なことばかりさせようとするのだから


生まれつき皮膚が弱い僕は

それはもう、

あれがダメ、これがダメ、と

ああしなさい、こうしなさい、

との狭間に生きてきた


かさぶたがポロポロ落ちるものだから

僕の寝る場所はゴミ屋敷みたいになるし

夜になると身体中が火照り痒くなる


そんな僕を両親は

汚いから掃除をしろ、だの

ボリボリうるさい、だの

まぁ迷惑がっていた


車内で親を怒らせてしまい、遠方だったが降ろされて歩いて帰らされたこともあった


それが一般家庭の「普通」なのかは未だにわからないが少なくとも思春期の人間にとっては親を嫌う材料にならないはずがない


僕には少し歳の離れた弟がいるのだが、

弟はそんな両親から守ろうと何かと庇ってくれていた


「僕は兄として失格なんだ」

そういう思いで生きることになった


そんな僕は突拍子もない行動もした

弟に止められ未遂に終わったが親といたくないという理由でナイフ一つで山に篭ろうと藪の中に入って行こうとした

当時は獣を狩って生きていくんだと息巻いていた


唯一の救いは、非行に走らなかったことだろうか

それもただ非行に走れるほどの度胸もなかっただけだろう


そんなこんなで捻くれた人格が出来上がったわけだ、なんてことだ!



紆余曲折があったものの5年前に念願の親元をはなれることが叶った

環境が変わったからか、色々考え方や見方が変わった


親元を離れてから判明したことだがどうやら僕はASDと呼ばれるものらしい


これは元からの性格のせいなのか、

または歪んだ家庭環境のせいなのか、

他の人が自分と同じ環境ならこうなることはなかったのか、

なんて色々考えてしまう


被害妄想?悲劇のヒロイン気取り?

不快な思いをしたならごめんなさいね

「まぁそんなもんですよ」

っていう口癖を少しはにかんでからついておきますね、ははは


まぁなんというか

親って大変なんだなって気づいた

むしろこんな僕を見捨てなかったって凄いよな

むしろあれは愛情表現だったのでは?

なんて


親に対して、金銭的援助をしてくれることもあるので助かっているというのは本音だ

弟はあれから生意気に育ったようで、

僕のことを「ちゃん付け」でよんでくる


今となってはあの時がどうとかわからないし

だからどうこうというわけでもない


ただ、こういうことを気づくきっかけとなった人がいたことが、短い人生ながらも生涯にかけて最大の救いだったのではないかと思っている


頭がいっぱいいっぱいになって

こういった感謝を忘れてしまうこともあるけど、何とか楽しくやっていけそうだ



別に何が言いたいわけでもないけど


自分自分となっていたものから

解き放たれると、少し気は楽になるよ


いろんな思いに気づけるといいね

その中で本当に大事な人を見つけてね


おわり






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エンドロールデンプシー 3ふんマン @qp3mcook

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