カノジョに”吸われる”ボク
烏目 ヒツキ
欲求爆発のカノジョ達
長門スズナ
いじわるな彼女
誰も使っていない空き教室。
日光がカーテンを照らし、微かに漏れた光が目の前の女子がどんな顔をしているか、薄く浮かび上がらせる。
「ホラ。抵抗してみなよ! アッハハハ!」
ボクは泣くのを我慢していた。
いきなり、両腕を手錠で拘束され、壁際に追い詰められたのだ。
彼女は、そんなボクに迫り、意地悪をしてくる。
「ふっ、ふぐっ……」
「泣かないでよ~。アタシ、何もしてないじゃん」
涙が零れ落ちると、彼女は笑った。
いや、いつも笑っているんだ。
どこか、ネジの飛んだ彼女は、こうやって『いけない行為』を平然とする。
ボクはそれが許せなくて、注意しただけだ。
なのに、逆恨みをしたのか、ボクを拘束して、暴れようとしたら手を押さえつけてきた。
「ハルくん」
にっと笑った彼女の目は、どこか熱を帯びていた。
何を思ったのか、ボクの上着の中に手を入れ、お腹を撫でてくる。
「や、やめろ! ボクは、お、お前みたいな、ふしだらな女子なんか――」
ベチン。と、頬を打たれた。
「……喋んな」
威圧的な一言に、ボクは黙ってしまった。
「アタシね。ハルくんと仲良くなりたかったんだよね。いつも、キショい女がうろついてるじゃん? アハハ。だから、ラッキー。みたいな?」
「ふぅ、ふぅ、……うぐっ」
顎を押さえられ、顔が近づいてくる。
「や、やめ、やめてよ! 何する気!?」
「いや、キスでしょ。好きだったら、するじゃん」
「やだ! ボクは、ボクは好きな人が――」
「知るか、バーカ」
こうして、ボクのファーストキスは、無理やり奪われる形となった。
サイコの入った、病的なまでに我慢を知らない女子。
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