色欲大魔王に支配された国のお姫様(未経験)ですが美人なメイド(経験豊富)と一緒なので何も問題はありません
釧路太郎
第1話 カトリーナ姫(未経験)とメイドのユイさん(経験豊富)
「色欲大魔王ってのは自分の性欲を抑えることも無く手当たり次第に手を出すっていう話だけどさ、私もそういう目に遭ってしまうという事なんだろ?」
「それは大丈夫だと思いますよ。カトリーナは可愛らしいお嬢様ですが完全にメスガキと呼ぶ荷が相応しい感じですし、私が色欲大魔王のアスモデウスと交渉してそれだけは遠慮していただくようにお願いしてきましたから」
「私はメスガキなんかじゃない立派な乙女だ。それにそんな簡単にお願いを聞いてくれるような奴じゃないと思うし、世界のほとんどを己の欲望のままに支配している最強最悪な大魔王とどんな交渉したって言うんだよ?」
「普通に交渉しても聞いてもらえないと思いましたので、その体に直接伝えてみただけですよ」
「何をやったのかは聞かない事にするけど、ユイさんは経験豊富って話だから色欲大魔王にも対抗出来たって事なんだろうな。でも、何をしたかは具体的に言わなくてもいいからな。生々しい話は苦手なんだよ」
「あら、カトリーナは見た目の通り中身もうぶなんですね。そういうところも可愛らしいですよ。具体的には言いませんけど、色欲大魔王も私の前では五分ともたなかったのです。ちょっと情けないですよね」
「時間とか言うなって。生々しい話は聞きたくないって言ってるだろ」
私の名前はカトリーナ。お父様が起こしたクーデターが成功してウェルティ帝国初代皇帝に即位したことによって王女となってしまったのだ。私は人前に出るのが嫌でずっと屋敷の奥に引きこもっていたのだが、お父様が酔った勢いで無計画に行って失敗すると思われたクーデターがあっさりと成功してしまったがために王女として人前に出る機会が増えてしまったという事なのだ。
クーデターと言ってもお父様がアストラ王国国王に宣戦布告をした段階で国王が退位を宣言したため何もやっていないに等しいのだ。おそらくなのだが、お父様がクーデターを起こすように計画したのはアストラ王国側なのではないかと思っている。なぜそう思っているかというと、お父様が皇帝になった三日後に色欲大魔王アスモデウスの軍勢が攻めてきてあっという間にウェルティ帝国は色欲大魔王アスモデウスの支配する国の属国となってしまったのだ。
たぶん、アストラ国王は色欲大魔王アスモデウスがこの地に攻めてくることを知っていたと思う。それがわかっていたからこそあんなに簡単にクーデターを成功させてしまったのだろう。全く抵抗もせずに国を明け渡し、自分たちは遠い土地へと向かっていったのだが、その際の行動があまりにも手際が良すぎたのであらかじめ準備をしていたのではないかと噂をしている者もいたのだ。
世界のほとんどを支配している大魔王が自分の国を狙っていると知れば逃げたくなる気持ちもわかるのだが、国民を残して逃げてしまうのはどういう事なのだろうと考えてしまう。ただ、私もアストラ国王の立場であれば同じことをしていたかもしれないな。
「珍しく何か考え事をしているみたいですけど、カトリーナには何か悩みでもあったりするのですか?」
「私が考え事をするのが珍しいみたいに言うなよ。私だって考え事くらいするさ。なあ、お父様の起こしたクーデターがあんなに簡単に成功したのってさ、アストラ国王が色欲大魔王アスモデウスの侵攻を知ってたからなんじゃないかって思うけど、ユイさんはどう思う?」
「端的に言いますと、アストラ国王はアスモデウスの侵攻を知ってましたよ。だからあんなに簡単に国を明け渡したのだと思います」
「え、知ってたってどういうこと?」
「どういう事と言われましても、私がアストラ国王にお伝えしたから知ってるんだと思いますよ」
「なんでユイさんが色欲大魔王アスモデウスの侵攻を知ってたの?」
「なんでって、私がアスモデウスにこの土地を攻めるように言ったからですけど」
「ちょっと待って、なんでそんな事を色欲大魔王アスモデウスに言ったのかな。そもそも、なんでユイさんの言葉で色欲大魔王アスモデウスが動こうとしたりするのかな。全然理解出来ないんだけど」
「どうしてと言われましても、私がアスモデウスに色々としてあげていたからですね。ですが、安心してください。アスモデウスがカトリーナに手を出そうとしたら私が相手をしてあげるという事になってますから」
「ユイさんと色欲大魔王アスモデウスがどんな関係なのかわからないけどさ、ユイさんっていったい何者なの?」
「何者と言われましても、ただの経験豊富な転生者ってやつですよ。いろんな世界にいろんな形で転生してきました。たぶん、そこで経験した多くの事は今カトリーナを守るためのモノだったと思うんです」
「守ってくれるのは嬉しいけどさ、私はあまり人前に出るつもりは無いから気にしなくていいよ」
「そんな甘いことは言ってはダメですよ。カトリーナはもうウェルティ帝国の王女になったんですからね。これからは今まで以上に人前に出て色々とやらなければいけないことがあるのです。カトリーナはずっと屋敷に引きこもっていて何事に対しても経験不足なですから、この経験豊富な私が色々な事をカトリーナに経験させてあげますよ。ただの引きこもりでは出来ないような経験を多くさせてあげますからね」
「いや、そこまでは望んでないし。そもそも、私が王女になったからって人前に出ないといけない決まりなんてないんだし。私が人前に出ても良いことなんて何も無いだろうし」
「これからたくさんいい事していけばいいじゃないですか。私が良いことたくさん教えてあげますよ。引きこもりでは見れらない世界をたくさん教えてあげますからね」
「その変な手つきはやめろ。何か気になっちゃうじゃないか」
ユイさんがどうして色欲大魔王アスモデウスと繋がっているのかはこの時点ではわからなかったが、私が王女になったのはユイさんが裏で暗躍していたからなのだ。お父様とユイさんが知り合ったのも偶然なんかではなく全てユイさんの計画通りだったのではないかと思うのだが、なぜそこまでしているのか私にはわからなかった。
「なぜって、カトリーナが可愛らしくて私のドストライクだったからですよ。カトリーナみたいな可愛い子を探していろんな世界を回っていただけですからね」
「私の考えを読んで答えるな。怖いだろ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます