第3話 銀髪の美少女

  —村の道具屋にて—


オレは忘れられないでいた。


今もあの子の顔が頭から離れられない。

"美少女"、その言葉が似合うような子だった。


…ああ、やべっ、思い出したらニヤけてしまう。


「おい!新入り、何サボってんだ!」


「あ、すいません!」


オレは道具屋に住み込みで働かせてもらっている。

もちろん自分で店を作るという考えもあるが

それはしっかりと金を貯めてから挑戦するもの稼げる見込みがない以上、猪突猛進の精神では決してやらないのだ。

そういうのは慎重にやらないといけない、

これがオレのやり方だ。


「よし、ここら辺でいいだろう。おい、新入り!もうあがっていいぞ!」


「分かりました。ではお疲れ様です!」


オレは道具屋の二階に上がり、部屋へと入る

そしてそのままベッドへダイビング!


…はぁ、疲れた。やっぱ労働は大変だな。

まあでももう少し金が貯まれば独り立ちできるからな……。


「今の所持金は銀貨二十枚に銅貨が三十枚ぐらい、金貨は五枚、か。結構貯まってきたな」


…しかし、あの子可愛かったなぁ、

名前聞いておくべきだったかな、いやそれでは下心丸出しで気持ち悪りぃか、それにしても天使だな、あの子…。


オレは密かに以前会った美少女に恋をしていた。

でも、どこかでオレには無理かもしれないと思う自分がいた。あれだけ可愛いんだ、男の一人くらいはいるだろうなと考えている。


「もう一度、会えるかなぁ…。会えたら何て言おうか…、また会えるのを楽しみにしてましたとか、いや気持ち悪りぃな」


オレは眠るまでその美少女のことを考えて一人、ベッドの上で悶えていた。


—翌日、オレは店主がいないので店番を任されていた。


「ふぅ〜、これで午前中の仕事は終わりだな……」


さてと、これから時間が空いたから何しようかなぁ、錬成術の練習でもするか。


「えーっと、確かこの鉱山の石を使ってやるんだったな」


オレは鉱山石に手をかざしてとある武器を作成する。

それは憧れの銃だ。一番好きなのはリボルバーの銃だ。

弾は六発で少ないがオレとしては使いやすいかもしれない。


「おー、やっぱいいなぁ、銃は!」


そんなことをしていると店の扉が開く。

オレはやばいと思い銃を隠す。


「いらっしゃいませ……」


オレは挨拶しようとしたが、やめてしまった。いや、やめるほどにびっくりしてしまった。


なぜならその店にあの美少女が立っていたから。オレは息を呑んだ、心臓がバクバク音をたてる。

破裂しそうなくらいだ。こんなにドキドキしたのはいつぶりだろうか。


その美少女ともう一人の女の子が一緒に買い物に来たみたいだ。


「あ、ねぇねぇ、ハル!これよ、これ!」


「あ、待ってよ、姉さん!」


どうやらあの美少女はハルというらしい。

あの困った表情も可愛いなぁ…。

二人は姉妹のようだ。

そんな風に思って見ていると、姉さんが手をあげてオレを呼んだ。


「すいません!店員さん!」


「……あ、はい!」


…やべぇ、ボーッとしてた。危ない危ない。


「はい、なんでしょうか?」


「このポーションはこれだけですか?」


「あ、いえ、裏にまだありますよ。いくら必要ですか?」


「うーん、そうだなぁ。…じゃあ、十本で!」


姉さんは少し考え込んでから弾ける笑顔で

答えた。


「わかりました。すぐにお持ちします」


オレはすぐに裏に入り、ポーションを持って戻ってきた。


「お待たせしました。どうぞ」


「ありがとう!銀貨五枚だったね!はい!」


「ありがとうございます!またお越しください!」


オレは金を受け取り、いつもの挨拶をする。

ふと姉さんが帰る前に振り向いてオレを見る。


「ここらじゃ、見ない顔だね」


「ああ、はい、実は最近この村に来たばかりでして…」


オレは急に質問されたから少し動揺してしまった。


…うまく笑えてるかな、オレ。


「そうなんだ、頑張ってね!」


「はい、ありがとうございます!」


姉さんはそのまま元気よく店を出る。その後にあの美少女もこっちに会釈してから出ていった。


…ふぅ、やっぱり覚えてなかったか。まあ、仕方ないほんの数秒だし無理もない。


ため息をつくオレだった。




   —村のはずれの山—


オレは奥深くの森の洞窟、そこにはたくさんの鉱石がある。


その情報は冒険者ギルドから聞いた。

錬成術師はその鉱石を使ってさまざまな武器を造っていた。


もちろんオレが造る武器は銃だけ。

だがそれを誰かに譲るつもりはない。

この世界の人間はおそらくだが銃の扱いに慣れていない、それにこの武器は悪者に渡ればただの人殺しにしかなり得ない代物。

オレは密かにこの武器を造る時は誰にも見られない場所で造ることにしてる。


オレだけが使える武器だ。


「よし、とりあえず今日はこれくらいでいいだろう」


辺りを確認してから立ち上がる。

遊びで造った銃は分解して土に埋める、その繰り返しだ。


「ただ造っては壊すだけの武器なら最初から造るのはやめようかな……」


オレは女神に言った自分の選択に少し後悔を感じていた。




  —冒険者ギルド—


オレはギルドで晩飯を食べていた。

飯を食べながら今の所持金を確認する。


道具屋て働き始めてから二ヶ月少し過ぎたが

かなり金は貯まったと思う。

道具屋で働く傍ら、山へと行って鉱石を取ってギルドへと持ち帰り、報酬が渡される。


これでかなり金は稼げた、あとは自分の店を持つだけだ。


はぁ、てかため息ばっか吐いてんな、オレ。


「あの、すいません……」


どこかいい物件はあるかなぁ……。


「……あ、あの、すいません」


結構高いって聞くけど、どれくらいするんだろ?今の所持金で足りるかぁ……。


「あの、すいません!!」


「うわぁ!?…は、はい、何!?」


オレはいきなり大声でかけられびっくりしてしまった。

するとまたオレは驚かされた。

なぜならオレの片想いをしている美少女こと

ハルさんがそこに立っていたからだ。


「あ、すいません、その、なかなか気づいてもらえなかったので……」


ハルさんはモジモジしながらオレを見る。


…え、待てよ。なぜこの美少女がオレになんの用だ?



ハルさんはニコッとオレに優しく微笑みかける。


間違いないこれは夢だ、そう夢だ。

いずれ目が覚めるだろう。それまで目を瞑っていよう。


…目が覚めない!

…ってことは、これは現実?


混乱するトビだった。

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