陰影と馬と鹿(書き下ろし)

人間、世界平和なんて望んでいなかったと思う。イルミネーションの輝く街を歩きながらそう思った。いつだってぼくたちは勝負を突きつけられていて、勝つ事でしか生きていけなかった。勝てない奴はいらない。そう言われているような世界で、争いがなくなるなんて思う人間は馬鹿なのかもしれないと、馬鹿な僕は考える。あの人と同じ思考回路になることで賢くなれるのなら、僕はずっと賢くなんてならなくていいと思った。


これは、

ただの遠吠えだ。

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